「お前で何とかしたい」3ボールから“打て” ハム栗山監督の思いと、応えた西川

日本ハム・西川遥輝【写真:石川加奈子】
日本ハム・西川遥輝【写真:石川加奈子】

5回1死一、三塁で3ボールから西川が左翼フェンス直撃の逆転2点適時二塁打

■日本ハム 4-3 ソフトバンク(4日・札幌ドーム)

 連敗中の重い空気を日本ハム・西川遥輝外野手が振り払った。4日、本拠地・札幌ドームでのソフトバンク戦。1点を追う5回1死一、三塁、ソフトバンク二保の外寄りのツーシームを捉えた。左翼フェンスを直撃する逆転の2点適時二塁打。「犠牲フライじゃダメだと思ってヒットを打ちに行いきました。一番ダメなのはゲッツー。逆方向に強い打球を打ちたいと思っていました」と振り返る一打だった。

 西川のこの一打で呪縛が解けたように、打線が繋がった。大田泰示外野手が31打席ぶりの適時打となる中堅フェンス直撃の適時二塁打で続くと、近藤健介外野手も22打席ぶりとなる安打で走者を還し、この回一挙4点を奪い、この4点が勝敗を分けた。

 今カード無安打だった西川自身にとっても12打席ぶりの安打。ここ5試合で計8得点と投手陣を援護できないもどかしさを抱えていた。「みんな悩んでますし、こんな時に限って6連戦。体も疲れていますが、昨日の泰示さんとコンちゃんの過ごし方を見て、いつかいい形になると思っていました」。3日の試合後、ふだんは試合後にバットを握らない2人がスイングを繰り返す姿を見て、西川自身にも感じるものがあった。

 栗山英樹監督の思いに応えた安打でもあった。3球連続ボールを選んだ後の4球目に出たサインは「待て」ではなく「打て」だった。「『振ってくれ』のサインだと思いました。打線の調子がよくない中、少ないチャンスで得点するしかない。序盤だったし、割り切っていきました」と西川は決して簡単ではないボールを軽々と飛ばしてみせた。

 指揮官は言う。「普段から3-0で打てのサインを出すことは多いけど、今回は違うメッセージがあった。一番信頼してるバッター。『お前で何とかしたい』という思いをくみ取って、うまく打ってくれた」とリードオフマンの完ぺきなひと振りを称えた。

 4番の中田翔内野手が休養のため先発から外れ、代打で結果を残した谷口雄也外野手が先発するなど打順を組み替えて臨んだ試合。西川は「昨日の雄也のホームランに感じるものもありました。レギュラー陣は疲れているけれど、今日出たメンバーに負けたくないと思えば、相乗効果がある。休むわけにはいかないので」とチームを引っ張る主力としての責任感を口にした。

 3タテを阻止して首位とのゲーム差を2.5に縮めた。「首位攻防戦で3連敗するわけにはいかないので勝って良かった。でも、また来週も(ソフトバンク戦が)ある。その前の試合にも勝って、いい準備をしたいです」と西川。ホッと息をつく間もなく、連勝して今週末の首位攻防戦に臨む覚悟を示した。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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