智弁和歌山、選球眼で初戦突破 データで楽しむ夏の甲子園【3日目・第1、2試合】

明徳義塾は出塁率と確実にバットに当てる打撃で藤蔭を上回る

○明徳義塾 6-4 藤蔭

【明徳義塾】
打率.194 OPS.555 wOBA0.291
O-swing% 24.4% Z-swing% 62.8% Swing% 43.1%
O-contact% 85.0% Z-contact% 89.8% Contact% 88.4%
Zone% 48.8% SwStr% 5.0%

【藤蔭】
打率.250 OPS.567 wOBA.285
O-swing% 32.1% Z-swing% 62.9% Swing% 49.2%
O-contact% 44.4% Z-contact% 86.4% Contact% 74.2%
Zone% 55.6% SwStr% 12.7%

明徳義塾 投手の各指標

林田大成
5回1/3イニング 打者数22 投球数63
WHIP1.31 P/IP11.81 GB/FB1.29

山田圭祐
2回2/3イニング 打者数11 投球数43
WHIP1.13 P/IP16.13 GB/FB2.00

新地智也
1イニング 打者数5 投球数20
WHIP1.00 P/IP20.00 GB/FB1.50

藤蔭 投手の各指標

小宮大明
5イニング 打者数21 投球数101
WHIP1.20 P/IP20.20 GB/FB1.00

高田大樹
1イニング 打者数9 投球数27
WHIP5.00 P/IP27.00 GB/FB0.75

片平真
3イニング 打者数9 投球数32
WHIP0.00 P/IP10.67 GB/FB3.00

 打率で見ると、藤蔭が.250と明徳義塾(.194)を上回っていますが、出塁率では明徳義塾.297、藤蔭.289。各プレーの得点価値を累積して算出するwOBAでも明徳義塾.291、藤蔭.285とわずかながらではありますが、明徳義塾が上回っています。そのわずかな差が今回の得点差を生み出したと考えられるでしょう。明徳義塾は4、6回に相手の与四死球や失策につけ込む効果的な攻撃で6点を奪います。なお明徳義塾の空振り率は5%と少なく、確実に当ててくるバッテイングが目立ちました。

 明徳義塾の林田投手はストレート6割の構成でピッチングを行なっていましたが、藤蔭は初球のストレートに的を絞ったのか、3回1死から5人連続で初球攻撃を仕掛けます。4回は3者3球でイニングを終えてしまいましたが、これが6回の反撃につながることになります。6回に集中して放たれた5安打のうち4本は甘く入った変化球でした。

 なお、明徳義塾のクローザーを務めた新地投手の投じた20球のうち19球がストレート。空振りは1つしかとれてませんが、コーナーをつく丁寧な投球で抑えることができました。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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