星稜・奥川、“抑えて”圧巻7回零封…データで楽しむ夏の甲子園【第13日目】

星稜・奥川恭伸【写真:沢井史】
星稜・奥川恭伸【写真:沢井史】

履正社の2年生岩崎はカットボールの比率増やして9回1失点快投

 近畿勢同士、中部勢同士という組み合わせとなった夏の全国高等学校野球選手権大会準決勝。その白熱の試合をセイバーメトリクスの指標で振り返ってみます。

 使用している指標の説明は以下の通りとなっています。

OPS 出塁率+長打率 1を超えると優れている
wOBA 各プレーの得点価値を累積して算出した打撃指標
O-swing% ボールゾーンに来た球をスイングした割合
Z-swing% ストライクゾーンに来た球をスイングした割合
Swing% スイングした割合
O-contact% ボールゾーンに来た球をスイングした際にバットにボールが当たった割合
Z-contact% ストライクゾーンに来た球をスイングした際にバットにボールが当たった割合
Contact% スイングした際にバットにボールが当たった割合
Zone% ストライクゾーンを球が通過した割合
SwStr% 空振り率
WHIP 1イニングあたりに許したランナーの数
P/IP 1イニングあたりに投球した球の数
GB/FB フライに対するゴロの割合

○履正社7-1明石商

攻撃指標
【履正社】
打率.342 OPS.879 wOBA.419
O-swing% 21.5% Z-swing% 64.4% Swing% 42.1%
O-contact% 41.2%  Z-contact% 85.1% Contact% 73.4%
Zone% 48.0% SwStr% 11.2%

【明石商】
打率.188 OPS.138 wOBA.060
O-swing% 25.8% Z-swing% 54.4% Swing% 40.8%
O-contact% 25.0%  Z-contact% 97.3% Contact% 75.5%
Zone% 52.3% SwStr% 10.0%

○履正社・岩崎峻典投手の各指標

9回 打者数33 投球数130 
WHIP 0.67 P/IP 14.44 GB/FB 0.44
ストレート 割合 50.8% Zone% 59.1% 空振り率 3.0%
カットボール 割合 36.2% Zone% 42.6% 空振り率 23.4%
フォーク 割合 6.9% Zone% 33.3% 空振り率 0%
全投球中の空振り率 10.8% 外角割合 57.7%

 初回にいきなり6安打の集中打で4点を奪って先制した履正社。5回に中押し、9回にダメ押しと理想的な得点の取り方で明石商に快勝した。夏の甲子園では初となる決勝進出を決めました。

 履正社の先発は1回戦、3回戦で清水投手のリリーフで登板していた岩崎投手。この2試合ではストレート、カットボール、フォークを6:2:2の組み立てで投球していましたが、準決勝では初の先発登板ということもあったのでしょうか、カットボールの割合を37%と増やしてきました。

 これが功を奏したのか、空振り率は24%で奪三振は10。そしてフライで打ち取る場面がゴロよりも多くなりました。終わってみれば無四球完投勝利というチームにとっては期待以上の貢献を果たした岩崎投手。先輩でエースの清水投手に、決勝での中3日登板というお膳立てをしました。

 明石商の中森投手にとっては、初回の被安打6、3失点が痛かったのですが、2回から8回までは被打率.200、WHIP 1.00、変化球空振り奪取率15%で無失点に抑えており、ベスト4に相応しいピッチングで健闘しました。

3回戦で20%を超えていた奥川のスライダーの空振り奪取率は13.2%

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