視聴時間はユーザーが設定!? プロ野球動画は“自分だけのハイライト”を作れる時代へ

空いた時間で動画を見られれば、野球に対するハードルを下げることにもつながる

 矢谷氏は自身の性格について「仕事を減らすための仕事を全力でやるタイプなので、無駄なことを見つけると、ついそれを最適化したがる」と分析する。AIの進歩によって人間の仕事が奪われることを懸念する声もあるが、矢谷氏はAIの発達によって空いた時間を有効に使うことで、人類の生活がより有意義なものになれば、という研究目的を語ってくれた。

 矢谷氏が見据える、時間の有効活用という方向性は、ハイライトの時間を自由に設定するという今回の研究内容、ならびに視聴者のニーズとも合致するものだ。

 もちろん、球場に行って生のプレーや応援を目にすることは野球観戦の醍醐味の一つ。矢谷氏も「私も、実際に何度か野球の試合を観戦したことがあります」と話し、「応援、マスコットやチアのダンスなど、いろいろと見るものがあって、球場ならではの楽しさがある」と語るが、球場以外では「どうしても実体験から離れてしまうところがある」ことが、長い時間を割くことに抵抗感を抱く人が少なくない理由の一つと考えているようだ。

「ちょっとした休み時間で野球を見られたり、野球が盛り上がった時にどんな選手がいるのかをパっと見られたりすれば、『じゃあ、ちょっと1回球場に行ってみよう』となるかもしれません。お金も時間もかかるし、電車に乗る必要もあるしと、いきなり球場に行くってなかなかヘビーなので。ですが、日本の野球界にはいろんな素晴らしい選手がいますし、スポーツとしての価値に加えて、エンターテイメントとしての価値も大いにあるでしょうから、それをもう少し気軽に味わってもらえるようなシステムを作るお手伝いができれば、我々も嬉しいです」

 矢谷氏は、ユーザーの求めに応じて柔軟に対応していく必要性も感じ取っている。その見通しは、矢谷氏が過去に行った研究と、その成果から来ているようだ。

「ユーザーが見たい時間を自分で指定できるだけでなく、見ているうちに『これ、面白そうだからもう少し長く見よう』みたいに心変わりできるシステムを作りました。なぜかというと、やはりユーザーの気持ちとして、見ているうちに『これ、しょうもないからもうちょっと短くしよう』とか、『これ、やっぱり見たいな』となりうるわけですよね」

「この技術によって野球が『ちょっと見てみよう』と思ってもらえるような一つの選択肢となれば」

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