佐々木朗希は「江川卓」奥川恭伸は「松坂大輔」 名将・渡辺元智氏が語る2人の剛腕
「佐々木くんは江川卓を彷彿とさせる。ストレートがマウンドとホームの真ん中くらいからグーンと浮き上がってくる」
渡辺氏は1998年に松坂大輔を擁し、甲子園で春夏連覇を果たした。“平成の怪物“と呼ばれた松坂と、佐々木と奥川。高校当時を比較し、そのポテンシャルの高さに太鼓判を押す。
「どちらかというと奥川投手は松坂に似ている感じがしますね。田中マー君とかね。松坂も実はコントロールに秀でていました。特にストレートとスライダー。奥川くんも高速スライダーを外角に放れますし、松坂もストレートを外角低めに投げて、それと同時に高速スライダーをストレートと同じようにアウトコースに決められます。そのあたりは非常に似ています。奥川投手はアウトロー、低めへの絶妙なコントロールがある。そこはどちらかというと松坂に近いと思います」。150キロを超える真っ直ぐと高速スライダー、そしてそれを操るコントロール。奥川は松坂に近いと指摘した。
では、佐々木が彷彿とさせるのは誰か。渡辺氏は意外な人物の名前を挙げた。「私が(昭和)48年に選抜で優勝した時、作新学院に江川卓という“昭和の怪物”がいました。その江川さんを彷彿とさせる。ストレートがマウンドとホームの真ん中くらいからグーンと浮き上がってくるんです。それが目線に近づいてくるので、みんなそれを振ってしまうのです。佐々木投手もストレートがそういう感じで来るんです」。江川卓のストレート。渡辺氏は“令和の怪物“と称される佐々木の姿に“昭和の怪物“を重ね合わせた。
「僕らは、ずっと打倒江川で取り組んできましたけど、なかなか打てませんでした。分かっていても手を出してしまう。その当時を思い出しました。やっぱり凄いピッチャーだな、と。現段階ではほとんどの高校生がボール球にも手を出してしまうくらい、高めに威力があります。こういう投手はなかなかお目にかかれないですね」。1973年、江川卓を見たときの衝撃と同じだけのインパクトが佐々木にはあったという。
「佐々木投手、奥川投手は非常に楽しみです。彼らが将来、日本のプロ野球を背負う大投手になることは間違いないでしょう」と語った渡辺氏。横浜高から松坂大輔や成瀬善久、涌井秀章ら好投手を育て上げた名伯楽は、佐々木と奥川に歴史に名を残した大投手と遜色ない才能を見出していた。
オープニングラウンドでは登板はなく、スーパーラウンドに向けて調整を進めてきた佐々木と奥川。ともにブルペンでの投球練習を再開し、スーパーラウンドでの復活が見えてきた。渡辺氏も絶賛する2人の逸材。初の世界一を目指す侍ジャパン高校代表の2本柱のここからのピッチングに注目だ。
U-18W杯のオープニングラウンド試合日程は以下の通り(※全試合BS朝日・AbemaTVで放送予定)。
8月30日(金)日本vsスペイン 4○2
8月31日(土)日本vs南アフリカ 19○0
9月1日(日)日本vsアメリカ 16○7
9月2日(月)日本vs台湾 1●3
9月3日(火)日本vsパナマ 4○1
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)