チーム力向上にはドラフト“3位”が重要? 西武、DeNAに見るドラ3の重要性
西武の3位指名選手はチームの中心に成長、広島では田中広、床田、阪神は才木、木浪
10月17日に迫ってきた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。都内のホテルで行われるプロ野球界の一大イベントは、各球団にとって来季以降のチーム作りを大きく左右する。どの選手を指名するか、スカウトら編成スタッフはシミュレーションにシミュレーションを重ねていく。
今年のドラフトは大船渡の佐々木朗希、星稜の奥川恭伸、明大の森下暢仁の3人が大きな注目を集め、競合は必至とされる。競合覚悟でこの3人に入札するか、はたまた別の候補で1本釣りを狙うか、各球団の駆け引きも楽しみな要素である。
ドラフト1位で指名される選手は、どこの球団もが高く評価している選手であり、その潜在能力は高いものがあるのが当然だ。実際にプロ入り後に活躍するかはさておき、競合によって“クジ運”にも左右されることがある。2位指名も注目されてきた選手が多い。
スカウトの腕の見せ所と言えるのは、やはり下位指名。そして、過去のドラフトを見ると、1位や2位もではあるが、“3位指名”の選手が、その数年後に大きくチームの成績に関係していることがある。
その最たる例が西武だ。2008年に浅村栄斗(楽天)が入団し、2010年に秋山翔吾、2012年に金子侑司、2014年に外崎修汰、2015年に野田昇吾、2016年に源田壮亮が3位で入団している。上位指名の森や山川、増田らとともに、3位指名の選手が、チームの根幹を成す中心選手に成長しており、それが2年連続パ・リーグ制覇に繋がっている。
今季、ラミレス監督就任後初めて2位に入ったDeNAも、2012年に井納翔一、2013年に嶺井博希、2014年に倉本寿彦、2015年に柴田竜拓が3位で入団。2017年の阪口皓亮、2018年の大貫晋一も今季1軍の戦力となっており、3位指名の選手の台頭は、他球団に比べて多い。コンスタントに3位指名の選手が1軍の戦力になっているのは、この西武とDeNAの2球団。ここ数年、着実にチーム力を向上させているチームと言えないか。
他球団にも目を移してみよう。広島では今季は不振だったが、田中広輔が2013年、床田寛樹が2016年の3位。阪神も2016年の才木浩人、2018年の木浪聖也が加入し、ロッテの鈴木大地、田村龍弘、楽天の茂木栄五郎なども3位入団だ。
今季5年ぶりにセ・リーグを制した巨人は田口麗斗が2013年、大城卓三が3位だが、あまり台頭は多くない。チーム編成でFAや外国人での補強に積極的なところも関係しているか。2年連続で優勝の逃したソフトバンクも、3位指名での台頭は少ない。ただ、ソフトバンクには育成選手の台頭という他球団にはない特色がある。
各球団の重要な戦力強化の機会となるドラフト。上位と下位のちょうど間、“中位”にあたる選手でどれだけの選手をチームに招き入れるか。もちろん1位でどんなスター選手が加わるかも注目ではあるが、そんな“3位”に注目してみるのも楽しいかもしれない。
(Full-Count編集部)