大手証券会社から日本ハムのアナリストへ 「僕は野球好きで研究好き」【パお仕事名鑑 Vol.9】

大手証券会社からプロ野球へ、歩んできた道が違う、だからおもしろい

 野本さんは大学まで野球部。大学の途中からコーチとして野球に関わっていた。ただ、その先に野球の仕事をするというヴィジョンは持ちにくかった。チーム強化や選手育成に関わる仕事はプロ野球関係者以外には狭き門のように感じていた。そこで、あるパリーグのチームの事業部でのインターンに参加したものの、ビジネスマンとしてスキルを磨き、経験を積んでからプロ野球界に入ってきたほうが良いというアドバイスをもらい、最終的には野球以外での就職を選んだ。その就職先は日本を代表する大手証券会社だった。

「たまたま配属になったのが、圧倒されるようなスーパー営業マンばかりの支店。その方々が教育係として色々話してくださいましたが、営業へのこだわり方、成績、そして何よりもこの業界とこの仕事を好きだという気持ちに圧倒されて……」

 そのスーパーな諸先輩方に肩を並べるにはどうするのか。証券会社という土俵ではなく、自分が本当に好きなものに取り組むしかない。そこで一旦、母校筑波大学の大学院に進むという道を選んだ。研究テーマは野球におけるコーチング論。この段階ではプロ野球で働くという明確な目標はなかったが、そこで出会いがあった。

「在学中にファイターズの方々にお会いする機会がありました。スカウティングと育成によるチーム強化で注目され始めた時期で、今までの野球界の当たり前とは違った取り組みをして強くなってきていることに惹かれました。ですからトラックマンへの興味とか、プロ野球界への興味というよりも、ファイターズというチームの取り組みに興味を持ちました。実際入ってみると、ファイターズは“仕事は自分で作る”という、自分で考えてやることが尊重されていて、すごく自分の性に合っていました」

 今までやってきたことを踏襲するのではなく、自分で作っていく。そもそもトラックマンは新しい領域。今、野本さんが取り組んでいることの一歩一歩の積み重ねが、続いていく人の道になっていく。

「トラックマン分析の最先端はメジャーリーグ。だからこそ、そこから学ぶことが当然多くなるのですが、学んだことを最大限に生かしつつも、自分の色じゃないですけど、トラックマンを含めた様々なデータを活用して、選手育成に貢献できる自分なりのやり方を作っていきたいという思いは強いです」

 プロ野球には次々と新しい領域が生まれ、そのことによって今までにはないステップから球団で働く可能性も拓けているのだ。

◇過去のお仕事名鑑はパーソルの特設サイトからご覧いただけます。
https://www.persol-group.co.jp/special/pacificleague/index.html

(「パ・リーグ インサイト」岩瀬大二)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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