バーランダーVSコール ア・リーグCY賞はアストロズ剛腕コンビの一騎打ち

アストロズのゲリット・コール(左)とジャスティン・バーランダー【写真:Getty Images】
アストロズのゲリット・コール(左)とジャスティン・バーランダー【写真:Getty Images】

バーランダーは21勝&300K、コールは20勝&326Kに防御率のタイトル

 サイ・ヤング賞はNPBの沢村賞とよく比較されるが、沢村賞は1947年創設、サイ・ヤング賞は1956年に創設された。また、選考方法や基準も異なっている。

 選考は、沢村賞が選考委員による選考なのに対し、サイ・ヤング賞は記者投票だ。サイ・ヤング賞は現在の沢村賞と同様、設立当初はア・ナ両リーグから1人だけ選出されていたが、1967年から両リーグで各1人ずつ選出されるようになった。選定の基準も沢村賞とは微妙に違う。

・ポストシーズン(地区、リーグシリーズ、ワールドシリーズ)の成績は加味されない
・リーグでの順位はあまり考慮されない。
・選考対象には救援投手も含まれる。
・タイトルはあまり考慮されない。
・WARの数値が重視されるが、それ以外の要素も考慮される。

 WAR(Wins Above Replacement)とは、セイバーメトリクスによる打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標。投手も野手も比較することができ、近年、選手の評価や契約などで最重要視されている。

 また近年、MVPが野手から選ばれることが多くなったため、サイ・ヤング賞は実質的に「投手のMVP」になっている。

 今季のア・リーグのサイ・ヤング賞を予想しよう。

○過去10年のサイ・ヤング賞受賞者。(チーム名/地区順位)WはWARとそのリーグ投手での順位

2018年 B・スネル(レイズ/東3)21勝5敗 221K 防御率1.89 W7.4(1)
2017年 C・クルーバー(インディアンス/中1)18勝4敗 265K 防御率2.25 W8.1(1)
2016年 R・ポーセロ(レッドソックス/東1)22勝4敗 189K 防御率3.18 W4.8(9)
2015年 D・カイケル(アストロズ/西2)20勝8敗 216K 防御率2.48 W6.7(1)
2014年 C・クルーバー(インディアンス/中3)18勝9敗 269K 防御率2.44 W8.3(1)
2013年 M・シャーザー(タイガース/中1)21勝3敗 240K 防御率2.9 W6.4(3)
2012年 D・プライス(レイズ/東3)20勝5敗 205K 防御率2.56 W6.6(2)
2011年 J・バーランダー(タイガース/中1)24勝5敗 250K 防御率2.4 W8.6(1)
2010年 F・ヘルナンデス(マリナーズ/西4)13勝12敗 232K 防御率2.27 W7.2(1)
2009年 Z・グリンキー(ロイヤルズ/中5)16勝8敗 242K 防御率2.16 W10.4(1) 

 昨年は最多勝のスネルが受賞。WARも1位だった。しかし2016年はWAR9位のポーセロが選ばれている。この年のWAR1位はタイガースのバーランダーの7.2だったが、バーランダーは16勝。ポーセロは最多勝の22勝。記者の票が割れてポーセロの受賞となった。投手の場合は、WARだけで選ばれるケースは少ない。

 2013年のア・リーグのWAR投手1位は、マリナーズの岩隈久志だったが、シャーザーが選ばれた。岩隈は3位、2位はWAR6位のダルビッシュだった。シャーザーはアで1回、ナで2回受賞している。

 2019年の候補を見ていこう。WARの投手5傑。

1 J・バーランダー(アストロズ/西1)21勝6敗 300K 防御率2.58 W7.8
2 M・マイナー(レンジャーズ/西3)14勝10敗 200K 防御率3.59 W7.8
3 L・リン(レンジャーズ/西3)16勝11敗 246K 防御率3.67 W7.6
4 G・コール(アストロズ/西1)20勝5敗 326K 防御率2.50 W6.9
5 E・ロドリゲス(レッドソックス/東3)19勝6敗 213K 防御率3.81 W6

 最多勝は21勝のバーランダー、最多奪三振は326のコール、最優秀防御率は2.50のコールだ。

 WAR1位のバーランダーと奪三振、防御率1位のコール、アストロズの2人の争いか。マイナーもWARではバーランダーに並ぶが他の数字は見劣りする。

 今回は票が割れそうだ。なお田中将大投手(ヤンキース)はWAR1.7で投手55位だった。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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