【プレミア12】元オリ監督が見た侍Jの収穫と課題 周東には「待ってました」とのコメントを…

大仕事をやってのけた周東、2死二塁からではなく1死二塁の場面でも成功できる

「分かってるだろう」が致命的なミスを呼ぶ。当たり前の事だが好感が持てる行動だった。なのに何故7回2死三塁で投手を含め内野手に指示を出さなかったのか。直後のプレーで投手がパニックになり一塁に送球せず致命的な点が入ったが実は三盗された時点で捕手がパニックになっていたのだろう。それほど周東の三盗は大きなダメージを与えたのだ。1つのアウトをベンチも含め全員で取るというのが野球の本質にある。ベンチからまたは内野手が指示を出していれば同じ結果になったのだろうか。「人の振り見て我が振り直せ」1試合の中に強くなるための気付きが沢山あった。

 さて、二盗を決め1死二塁の場面で打席に松田を迎えた場面。相手投手のクイックタイムはアベレージで1.69をマークしていた。周東には素晴らしい感性と体内時計が備わっている。周東の力を持ってすればこの場面でも三塁を奪えたはず。因みに盗塁時は1.75だった。1死三塁と2死三塁では相手に与えるプレッシャーは違い攻撃の選択肢も増えてくる。今大会、そして来年の五輪を見据えるとこの先はもっと厳しい戦いが続くことは想像に難くない。周東なしには勝ち切れない。さらなる成長に期待したいところだ。

 もちろん、周東と源田がみせた攻撃は日本らしい素晴らしい得点だ。相手が走ってくると分かっている中で決めた周東、そして2死三塁からセーフティバントを試みた源田のチャレンジには敬意を表したい。

 そして2つ目は同点に追いつく前の6回の攻撃だ。先頭の會澤がヒットで出塁、そして続くは1番に起用された丸。ここで相手ベンチは左投手にスイッチした。初球は丸の頭付近に大きく逸れる“大暴投”。相手が苦しむ中で2球目を犠打で送りチャンスを広げた。

 今大会で丸は打率0割台と苦しんでいるが、彼なら色々な選択肢はあったのではと思う。勿論、カウントで変わったのかも知れない。これは結果論になるが、打たせて凡打になっていても走者が入れ替われば続く菊池とのコンビで相手を追い込むことが出来る。走者が誰であれ、丸、菊池こそこの場面の適任者なのだ。走者一塁に置いた時の菊池、丸、得点圏での誠也、會澤、彼らがこの3年間で体得したスキルはビッグゲームでこそ遺憾なく発揮するだろう。稲葉監督も6回でまずは同点に追いつきたいと考えそれぞれの選手を信頼するからこその丸のバント。ここに稲葉監督の強さを感じたが違う戦術も見たかった。

 最後は投手陣。先発の山口は今大会の侍ジャパンのエース格としてマウンドに上がっている。4回2失点で降板となったが初回に連打でいきなりピンチを作ったオープニングラウンドのベネズエラ戦から見れば修正出来ていた。

山口はオープニングラウンドに比べ修正も「高めのストレートの使い方」

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