周東は五輪メンバーに入る? 稲葉監督を悩ます登録枠減少のジレンマ…
プレミア12で28人だった登録枠は五輪では24人に
「第2回 WBSCプレミア12」で10年ぶりに世界一に輝いた野球日本代表「侍ジャパン」。17日に行われた韓国との決勝では、山田哲人内野手(ヤクルト)が逆転3ランを放って5-3で勝利した。4年前の第1回大会で敗れた雪辱を果たし、悲願の初優勝を手にした。主要国際大会で侍ジャパントップチームが世界一となるのは2009年のWBC以来となった。
今大会で大きな注目を集め、そして、成果を残した存在が主に代走として起用された周東佑京外野手だ。スーパーラウンド初戦のオーストラリア戦で1点ビハインドの7回に代走で起用され、二塁盗塁、三塁盗塁を続けざまに決めて同点劇を演出。その俊足ぶりは瞬く間に脚光を浴びるようになった。
“走のスペシャリスト”としての存在価値を、国際舞台で感じさせた周東のプレー。金メダル獲得を目指す2020年の東京五輪に向けて貴重な戦力発掘となったが、その一方で悩ましい問題もある。
今回のプレミア12は選手登録数が28人だったのに対し、東京五輪は4人少ない24人。仮に投手12人、野手12人の割合だとすると、野手のレギュラー(DH含む)9人とあと3人しか選べない。捕手は最低2人が必要で、となると、残る野手は2人だけとなる。
その限られた枠を、どう使っていくのか。1人で複数の役割をこなすことの出来るユーティリティー性の高い選手、例えば今代表の外崎修汰のような選手への需要が高くなるだろう。周東のような一芸に秀でた“スペシャリスト”に1枠を果たして使えるだろうか。
稲葉監督もこの登録人数減へのジレンマを口にする。優勝から一夜明けた18日に報道陣に対応し「大会を振り返って、五輪では人数が少なくなるので、そこを含めてああいうスペシャリストが必要か、コーチと議論をしていきながら決めていきます」と語った。
何も周東だけに限ったことではない。稲葉監督にとっては嘉弥真新也投手や大竹寛投手も“スペシャリスト”として考えており「スペシャリストを五輪でどれだけ入れられるか、必要になってくるか。24人になる中で投手と打者で何人ずつになるか、スペシャリストを入れるか考えていきたい」とも話している。
その一方で、このプレミア12で一芸に秀でた選手の重要性を認識したのも事実で、指揮官は「大会を通じて必要になるのではないか、と考えるものになりました」とも。東京五輪まで、あと8か月ほど。どういったメンバーを組むのか。その人選にも注目だ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)