【パお仕事名鑑】新外国人調査ではベンチ内の態度もチェック オリ国際渉外部羽場大祐さん

オリックスの国際渉外部で日々奮闘する羽場大祐さん【写真提供:オリックス・バファローズ】
オリックスの国際渉外部で日々奮闘する羽場大祐さん【写真提供:オリックス・バファローズ】

国内NPB球団、メジャー30球団、韓国や台湾プロ野球などとの選手獲得競争は熾烈

 グラウンドの上で輝く選手やチームを支えているのはどんな人たちなのか。パ・リーグで働く全ての人を応援する、パシフィック・リーグオフィシャルスポンサーのパーソルグループと、パ・リーグインサイトがお届けする「パーソル パ・リーグTVお仕事名鑑」で、パ・リーグに関わるお仕事をされている方、そしてその仕事の魅力を紹介していきます。

 国際化が進むプロ野球。海外からの選手の獲得というだけではなく、選手の派遣やチャレンジ、海外球団との交流や提携、情報の共有などますます広がり、複雑になっている。オリックスも先を見据えて積極的な展開を進めているが、こうした業務を担当するのが国際渉外部だ。まずは野球ファンにとって興味深い、外国人選手の獲得に関わる仕事から聞いてみよう。

「渉外担当の主な仕事内容は、外国人選手を獲得するにあたっての情報収集、駐米スカウトへの指示や連携などのマネジメント。新外国人選手候補においては駐米スカウトからも推薦がありますし、また、選手自身や選手の所属事務所からの売り込みもあります。その中から日本で活躍できそうな選手をリストアップ。その後、編成部長などが選手を決定し、実際に契約の段階となれば代理人との交渉や契約書の作成などを手がけます」

 2016年に現職に就いた羽場さん。実際に関わった選手の中にはロメロ、マレーロ、アルバースといった選手がいる。実力も十分でチームに貢献してくれた選手だが、ハート(内面)の部分でもファンに支持される選手たちでもあった。

「ガッツを出してやってくれる選手は性格の面でも日本に合うだろうなと思います。プレー内容や技術の部分はスカウトと一緒に観て評価してもらう。こうした技術面とともにやはりハートの部分の見極めも大切です」

 情報収集はプレーとハートの両面から。どちらがわかりやすいということはないが、それでもなかなかハートという部分はわかりにくそうだ。どのようなところを見て、分析しているのだろうか。

「現地で調査している時には、例として、打者であれば三振してからのしぐさや態度。ベンチに戻るまで気にするようにしています。また、インタビュー動画がインターネット上にアップされていたら話し方はどうか? なども確認します。必ずしもそれがすべてではないと思いますし、それだけで全てわかるわけではないですけど、人物像が見えてきます」

 あらゆる角度から選手の情報を得る。人が良くてもプレーに良さが出なければ意味はないし、プレーが良くてもチームに過度な迷惑をかけるメンタルでも困る。見極めは難しいが、きめ細やかな情報は大きな助けになる。そのためにも常時アンテナを立てる。忙しい1年、普段どんなスケジュールで動いているのだろうか。

「1年の始めに年間のスケジュールを組みます。主な渡米スケジュールとしては4月、6月、8月。4月と6月は主に緊急補強用の視察、8月には次の年に向けてのリストアップ。このようなスケジュールを組んではいますが、難しいのはリストアップしてもオリックスに確実に来てもらえるという保証がないという点。例えばメジャーのセプテンバーコールアップ(9月に行われる登録枠拡大による昇格)で動いてしまうことや、他球団との競合になることも。あとは、ドミニカ、プエルトリコのウィンターリーグの活躍が翌年の参考になることもあるので、こうした動向にも注視しています。また、国際試合があればそこのスケジュールは空けておきます(2019年であれば「プレミア12」の11月2日~17日)」

 国内のドラフト同様、長い目で見ての準備が大切。国内11球団だけではない。メジャー30球団、さらには韓国や台湾などの球団との競争でもあり、選手の環境や意識の変化などの動向にも左右される。国際渉外部ならではの日本の球界の時間軸だけではない仕事。でも、球団にとって外国人選手は重要なピースだ。大変な仕事だがやりがいは?

「難しい仕事だとは思いますが、なんといっても契約した選手が活躍すれば勝利に直結します。役割としては大きなものを担っていると思います。ですから関わっている選手が活躍し、チームの勝利に貢献できた時。それが一番のやりがいになっていますね」

大学時代に2度の語学留学、通訳を経て国際渉外部に

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