ハム斎藤も感激「大きい一歩」 早慶タッグで「野球あそび」イベント開催

早大野球教室に登場した日本ハム・斎藤佑樹【写真:臼井杏奈】
早大野球教室に登場した日本ハム・斎藤佑樹【写真:臼井杏奈】

野球人口や遊び場の減少、子ども達の体力低下などに向き合う

 早稲田大学野球部は8日、東京・東伏見の同部グラウンドで小学生を対象とした野球教室「Hello!WASEDA あそび場大解放! 現役野球選手と野球あそびで楽しもう」を開催した。同部OBの日本ハム斎藤佑樹投手が参加し、ライバルである慶大野球部員も参加したことに「とても大きい一歩」と感激していた。

 今回のイベントは早稲田大学野球部OB会が2016年から行う活動「プレイボール、プロジェクト」の一環。野球競技人口の減少は常々語られるところで、7年間で4割、少子化の8倍速度で減少しているという。さらにこのイベントは野球競技人口の減少だけでなく、社会課題の解決も目的としている。

 近年ではバットやボールを使用できる公園が減り、子どもが野球に触れるハードルが高くなっているという。斎藤は「自分の頃は(外で野球をして)怒られることはなかったと思う。場所もあったし、練習相手も兄がいたので、まずは始めてみよう(という形)だった」と今の環境との違いを語る。

 斎藤は「野球をやりたい」という気持ちから仲間を集めたといい、「一緒にやろうと誘ったりして、とりあえず1回と。それで続けて野球関係の仕事をしている人もいるし、好きになってくれたんじゃないか。プロ野球だけで人口が増えるかと言われればそれだけではない」と当時を振り返った。

 今ではチームに所属しないとなかなか野球を始められず、斎藤の子どもの頃のように「とりあえず1回」は難しいのが現状だ。実際にこういった環境による影響は子ども達の体力測定にも現れており、スポーツ庁の調査によれば、11歳男子のソフトボール投げは30年間で約5メートルも落ち、27.86メートルになったという(2018年度体力・運動能力調査)。

 そのため今回はボールやバット、フリスビーなどを使った遊びを通じ、楽しみながら上手くなることでスポーツへの意欲向上に繋げるという意図が盛り込まれたプログラムとなった。斎藤も「今の時代は選ぶものも多様化している」と野球を選ぶように押し付けることは嫌いながらも「今日はフリスビーなどもやりましたが、野球の動作に似ているなと気づいて、そこから野球をやろうかなとかでもいいと思う」と新しい考え方を語った。

 またこの日は早大野球部だけでなく慶大野球部も参加する異例のイベントとなり「ライバルである慶応の選手が早稲田のグラウンドに入るなんて、ありえないこと」と驚いた斎藤。「今日1日の出来事はとても大きい一歩だと思う」と、野球界の結束に感激していた。

(臼井杏奈 / Anna Usui)

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