“孤軍奮闘”の吉田正、MLB282発ジョーンズ加入で? 19年のオリ打者陣を振り返る
チーム唯一の全試合出場、打線の心臓となった吉田正尚外野手
今季は主に3番、4番に座り、2年連続となるシーズン全試合出場を達成した。リーグでも全試合に出場したのはたったの7選手で、ルーキーイヤーから2年連続でケガに泣いた過去を忘れさせるようなタフさを見せつけた。成績も申し分なく、打率.322(リーグ2位)、168安打(同2位)、29本塁打(同8位)と、いずれもキャリアハイだった。チーム不動の主軸として、苦しい野手陣のなかで気を吐いたといえよう。
特に目覚ましい活躍だったのが7、8月の2カ月間だ。7月は月間打率.357、7本塁打、21打点で自身初となる月間MVPを受賞。翌月もバットの勢いはとどまることを知らず、驚異の月間打率.407を記録した。全23試合中で3度の猛打賞を含む計13度のマルチ安打を記録。フルスイングが印象的だがミート力にも優れており、全アウト数に占める三振の割合は約18%だ。これは首位打者を争った西武、森友哉捕手の約28%よりも低い数字だった。
今季は2年目にして主将に任命され、重圧がかかる中で自己最多135試合に出場。走塁ではリーグ2位タイの30盗塁を記録する一方で、盗塁死の数はリーグワーストの14だった。守備機会の多い二塁手の難しさは当然考慮しなくてはならないが、リーグワースト3位タイの12失策は改善の余地があり、来季は今季の経験を生かして成長していってもらいたい。
中川は規定打席到達とはならなかったが111試合に出場し、チーム3位の105安打、打率.288の好成績を残した。チームの新人野手が100安打に到達するのは2012年以来、7年ぶり。特に交流戦では全18試合で一塁手としてスタメン出場し、10試合でマルチ安打を記録、打率.386で交流戦首位打者となった。新人野手が交流戦首位打者を獲得するのはNPB史上初の快挙だ。守備面でも外野手から一塁手、三塁手などの多様な起用に応える一方で、失策数は0と安定していた。同期のなかでは最も低い7位指名だったが、実力と入団順位が無関係であることを証明してみせた。
シーズン中盤から頼もしい存在になったのがモヤだ。7月2日に中日よりトレードで加入すると、翌3日に即スタメン出場。移籍後初打席でいきなり右中間スタンドに飛び込むソロ本塁打を放つ衝撃のデビューを飾った。今季は10本塁打を放ったが、2桁本塁打はチームで3人のみ。貴重な大砲の役割を果たしたと言える。
これに触発されたのがステフェン・ロメロ外野手だ。故障で離脱したものの、モヤが加入した7月の後半から戦列に復帰。翌8月には月間打率.385、7本塁打、25打点と大活躍だった。特に印象的だったのが8月15日の西武戦。5番に座ったモヤが1本塁打5打点の活躍を見せると、4番のロメは2本塁打6打点。2人で計11得点の大暴れをみせた。これに影響を受けたチームメイトも快音を連発し、球団9年ぶりとなる20得点を記録した。
一方で、2人合計でシーズン142三振。試合数を考えれば多いと言える。ロメロは来季のオリックスからは外れるが、モヤにはより確実性を高めた打撃を期待したい。