得点数リーグ3位、FA移籍の浅村らが躍動、来季は転換期?… 楽天19年野手陣

得点圏打率はチームトップ、与えられた役割を全うした「つなぎの4番」

 そして、島内宏明外野手も目を見張る活躍を見せた。シーズン序盤は「つなぎの4番」として打線をけん引した。本人は4番という打順について「なんで自分が」と後ろ向きな発言も多かったが、ファン目線で言えば非常に頼もしい4番だった。打率.287、57打点とそこまで突出した数字ではないように見えるが、得点圏打率はチームトップの.342(※規定打席到達者のうち)、キャリアハイの145安打を記録している。特に多くの選手が失速してしまう夏場の8月の月間打率は.362、38安打と好成績を残し、シーズンを通して存在感を示し続けた。

 今季はルーキーの活躍も非常に目立った。まずはドラフト1位の辰己涼介外野手だ。大学No.1野手と称され、走攻守すべての面において大きな期待を、そして楽天のレジェンド2人が背負ってきた背番号「7」を背負って入団すると、守備範囲の広さ、そして球界でもトップクラスの肩の強さで何度もチームを救った。野手がどれだけ投手の失点を防いだかを表し、野手の守備を評価する指標とされる「UZR」に着目すると、外野手のなかでもトップクラスに入っていることから、一級品であることは間違いないだろう。

 その反面、打撃においては大きな課題を残した。新人ながら124試合に出場したものの、打率.229、4本塁打、25打点、得点圏打率.192と思うような結果を残すことができなかった。しかし、大学時代にはリーグ2位の122安打を記録していることから、ポテンシャルが高いことは明らか。オフシーズンの過ごし方が来季の活躍に直結すると言っても過言ではない。

 また、ドラフト6位の渡邊佳明内野手の活躍も光った。ルーキーであることを忘れてしまうほどの驚異的な勝負強さと卓越したバットコントロールを兼ね備える渡邊は8月に入ると、一時は5割を超える得点圏打率を残し、1軍には欠かせない戦力として機能した。痺れる場面でも与えられた仕事を難なくこなし、平石前監督も「佳明は代打でバントもある」と言うほど小技も使える器用な選手だ。

 ルーキーは対戦する投手のほとんどが初見。それでも打席内でタイミングの取り方や足の上げ方などさまざまな工夫を凝らし、徐々に合わせていく対応力、修正能力を持っており、首脳陣からの評価も高かった。2年目はさらに爪跡を残し、定位置奪取といきたい。

長年チームを支えた捕手の不在、救ったのは4年目の若鷲

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