得点数リーグ3位、FA移籍の浅村らが躍動、来季は転換期?… 楽天19年野手陣
長年チームを支えた捕手の不在、救ったのは4年目の若鷲
これまでチームを支えてきた嶋基宏捕手が腰痛などによる長期の戦線離脱で、キャリア最少57試合にとどまった。これにより、4年目の堀内謙伍捕手がチーム最多の52試合でスタメンマスクをかぶった。今オフ、堀内はレギュラー奪取へ向けて、古傷である右肘の手術に踏み切った。これまでは注射を打ち、だましだましプレーしてきたが、これで万全のコンディションで来季を迎えることができそうだ。
首位攻防戦やCS進出が懸かった試合など、チームにとって重要な試合でスタメンマスクを被ったのは堀内。入団当時から当時2軍監督だった平石前監督の指導を受けており、この長い期間で築かれた信頼関係が起用につながったのではないだろうか。来季からは指導を受けてきた平石前監督、そして入団当初からお手本としてきた嶋は身近な存在ではなくなる。先輩たちの教えを生かし、レギュラーを勝ち取ることが両者への最大の恩返しとなるだろう。
攻撃全体の課題として犠打の精度が挙げられる。犠打は一歩間違えれば併殺打になりかねないリスクの高い戦術であり、犠打1つで試合の流れが変わる可能性もある。今季は銀次内野手や茂木栄五郎内野手など上位打線のチャンスに強い打者にも犠打のサインが送られる場面が多く、失敗して得点のチャンスを失う場面も見られた。今季、1軍内野守備走塁コーチを務めた酒井忠晴コーチが2軍内野守備”バントコーチ”に就任したことが、その表れではないだろうか。
犠打の精度が向上すれば、攻撃の幅が広がるに違いない。また、辰己、オコエ瑠偉外野手、茂木など足が使える選手が多い中、今季の盗塁数は48個で日本ハムに並んでリーグ最下位に終わった。
9月24日、CS進出が懸かったソフトバンク戦において、オコエと辰己がダブルスチールを成功させ、送球がそれた間にホームイン。「足」で貴重な1点をもぎ取った。このように、次の塁への積極的な姿勢を見せられれば、必然的に得点も増えるだろう。来季は機動力を生かした野球にも期待したい。
2019シーズンを3位で終えた楽天は今、平石監督の退任や主力選手の退団など、来季への不安が大きいことは確かだ。しかし、堀内・太田両捕手の成長や辰己の守備、若手投手の台頭など、収穫も大きい。さらに、2018年の新人王・田中和基外野手や左キラーの高梨雄平投手、ダブルエースなどの今季不調に苦しんだ選手の復調、そしてFAで加入した鈴木大地内野手の力も加われば、優勝争いも夢ではないはず。
今季2軍監督としてイースタン・リーグ初優勝に導いた三木肇新監督の下、チーム全体の底上げを図り、どのようなチームが形成されていくか。来季こそは7年ぶり2度目のリーグ優勝、そして日本一の栄冠を手にして、東北を熱く盛り上げてくれることに期待しよう。