柳田ら主力離脱も周東ら活躍、育成にも好素材… 19年ソフトバンク野手陣を振り返る
チームに欠かせない助っ人大砲コンビ
デスパイネ外野手とグラシアル内野手の活躍がなければ、今季のソフトバンクのシーズン成績は大きく変わっていたと言ってもいいだろう。まず、デスパイネは主に4番に座り、130試合に出場。自己最多の36本塁打(リーグ2位)を放った。持ち前のパワーを存分に発揮し、豪快に引っ張る本塁打が見られた一方で、今季は逆方向へのアーチにも注目が集まった。全36本のうち、18本が右方向への当たりであり、ライトスタンドのファンにも多くのホームランボールを届けた。
グラシアルは7月に母国の代表参加のため一時離脱となった影響で、規定打席には届かなかったものの、昨季の54試合を大きく上回る103試合に出場した。打率.319のハイアベレージを残しながら、長打率.595とパワーも十分で、リーグ9位の28本塁打を記録した。また、月単位で見ても成績の上下が小さく、月間打率が3割を切ったのは6月の同.299のみだった。
甲斐拓也捕手といえば、その驚異的な強肩を指す「甲斐キャノン」が代名詞になっていることは言うまでもない。ただ、今季の盗塁阻止率は.342と、昨季の同.447には届かず。一方で、打撃成績が大きく向上したといえるだろう。自身初の規定打席に到達し、打率.260、11本塁打といずれもキャリアハイだった。9月6日のロッテ戦では、同い年の千賀滉大投手が育成出身選手初となるノーヒットノーランを達成した。その陰で、同じ育成出身の甲斐が「女房役」として先制打を放っていたことを忘れてはいけない。
今季のソフトバンクで、最も出場機会を伸ばしたのは周東佑京内野手と言っても過言ではないだろう。思い返せば、昨季のファームで、平凡なショート正面のゴロを「内野安打」にする驚異的な脚力を見せており、今季の活躍の予兆はすでに見られていた。
開幕直前の3月26日に支配下登録されると、4月6日の1軍登録以降、一度もファーム降格を経験することなくシーズンを戦い抜いた。持ち味の走力では、リーグ5位の25盗塁を記録してその能力を証明。代走として出場機会が限られ、なおかつ相手バッテリーからの警戒もあることを考えれば、好成績である言えるだろう。守備では内野手登録でありながらも、両翼、そして三塁手、二塁手とさまざまな起用に応えた。ただ、打席に立つ機会は少なかったものの、打率は.196とまだまだ改善の余地が残る。来季も足のスペシャリストとして活躍する一方で、打撃面の成長にも期待したい。