DeNA今永が意識する“骨で投げる”とは? 「プレミア12」で確信「今後の引き出し」

自主トレを公開したDeNA・今永昇太【写真:編集部】
自主トレを公開したDeNA・今永昇太【写真:編集部】

メキシコ戦での小さな“変化”がもたらした大きな結果、東京五輪への思いも

 DeNA今永昇太投手は昨季、13勝7敗、防御率2.91の好成績を残し、リーグを代表する投手に成長した。しかし慢心することはなく「前年の数字をすべてにおいて超えないと」とさらなる高みを目指す。レベルアップのキーワードとなっているのが“骨投げ”だ。

“骨で投げる”というのは妙な表現だが、今永が以前から意識する体の使い方だ。「安定した投球は先発ピッチャーの一番の課題」という今永は投球の再現性を高めるため、余計な力みを入れず、関節を意識して投球する。「結局、筋肉は骨の上にある。筋肉より関節や骨を意識すればその方が内側から使えるのではないか」というのが今永の考えだ。

 14日に駒沢大学で行った自主トレで今年初のブルペン入りとなったが、その際も骨と関節を意識し、「上体のブレもなく、フィニッシュも流れることもなく股関節で受け止められた」と手ごたえを口にしていた。

 この考え方が間違っていなかったと証明されたのが、野球日本代表「侍ジャパン」として出場した「プレミア12」、メキシコ戦だった。先発した今永はこの試合で6回82球を投げ、1安打8奪三振、1四球1失点と好投。自身の根幹だと話すストレートは冴え、チェンジアップやカットボールも巧みに使って3回まで完璧な投球をみせると、6回には3者を空振り三振に仕留めた。

 この試合ではフォームに小さな変化を加えた。「足を上げた瞬間に足首をロックする意識をした」といい、これまで伸ばし気味だった左の足首を曲げた状態で固定することで“骨で投げる”ことができたという。「思ったところに球がいくし、よく制球できていた。ミスしても強いボールがいっていた」と振り返る。「メキシコ戦の投球は今後の引き出し」と生きる経験となったようだ。

 今季は更なる成長でタイトル獲得とリーグ優勝を狙う今永だが、もう1つ狙うものがある。「(プレミア12では)あの緊張感の中で野球ができた。オリンピックは漠然とした目標だったが、今は頭の中の大半を占めている」と世界の舞台に思いを馳せる。「選ばれるだけでなく、結果を残せるように」。野球日本代表とDeNAの星として、横浜スタジアムのマウンドに上がりたい。

(臼井杏奈 / Anna Usui)

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