パ審判歴約30年の男が見たパの強打者 落合博満とイチローの共通点とは?

今は一ファンとして見ている野球は「悪いけど(試合が)かったるいんですよ」

――選手を退場させたことで記憶に残っていることは?

「日本ハムの広瀬哲朗くんとかね。彼がとんでもない勘違いをしたんじゃないかな。楽々、サードベースの上を通過した打球だったんだけど、『ファウルだ、ファウルだ』と騒いで、いきなり僕の胸を突いたことがあった。その時は即、問答無用の退場でしたけどね。なんであんな文句言われたかと思った。次に打球落ちたところがファウルゾーンだったから、もう問答無用だったです。遺恨が残るようなことはないですね。彼が謝るようなことはしないですね、こっちから言いもしませんしね。一試合、終わればご破算ですから」

――ほかに退場宣告をした選手で印象に残っていることは?

「現役最後に退場させたのは楽天の山崎武司くん。初球がインコース膝もといっぱいのストライクだったんですよ。でも、不満そうでした。2球目は空振り、3球目も空振りで3球三振。でもそしたら1ボール2ストライクだって言ってね。1球目はボールだといって。そしてベースに砂かけていったんですよ。けれどベースは審判にとっての聖域ですからね。そこを汚されたと思ったから問答無用で、即退場です。その後は(翌日)移動で仙台に行く予定だったんですよ。それで朝の新幹線の席がすぐ近くで。ちょっと気まずかったですね。それでスポーツ新聞読んだら『山崎が山崎を退場』とか書いてあって、なんじゃこりゃって(笑)。同じようなスポーツ新聞読んでいたと思います」

―今のプロ野球に感じることは?

「すごく選手同士仲がいいんですよ。だけど、あの頃はやっぱり、西武対近鉄だとか、乱闘なんかしょっちゅうあったし、お互いにピリピリ感があった。真剣勝負の「承知せんぞ!」見たいな。例えばこっち(顔の近くに)来ていたりなんかしたら。いい意味でも戦場のようなものを感じていました。清原選手は、喜怒哀楽が表に出るタイプだったですね。ホームランなんか打てばドヤ顔して、野茂くんは打たれても三振取っても、本当、変わらん表情だったですね。嬉しくないのかなぁ、悔しくないのかなぁというのが読み取れないピッチャーだった。淡々としていました」

――物足りなさなどは感じますか?

「一昨年に退任して、仕事としてプロ野球を見ることはなく、一ファンとして見ていると、悪いけど(試合が)かったるいんですよ。試合時間が長くて、長くて。なかなか、最終回まで見ることなく、大体7回、8回で帰ってしまう。野球は好きだから、昨季も30試合くらいは見に行ったかな。一方で、アマチュアの試合をよく見るようになったんですよ。高校野球、大学野球、社会人野球。そしたら彼らの野球はスピーディーなんですよ。どうしても彼ら(プロ)の野球はダラダラ感があって。サイン交換は、やたら長いし、打席よく外すし、ピッチャーの間合いも長い、攻守交替もなんか長い。そんな理由で、ちょっと見るのはしんどいです」

――どのように改善していければいいですか? 私案があれば、教えてください

「もう30分は早めてほしいですね。僕が入ったころは3時間超えるってあまりなかったんですよ。2軍戦だったら2時間半以内に収まるのは当たり前だったし、僕は入った当初は3時間超えたら新しいイニングに入らないというルールもあった。延長戦規定で。みんな2時間で収まっていたのが、1980年の終わり頃から超えるようになって、そこからどんどんどんどん長くなって。今は各球場のロッカーにはスピードアップのための励行事項というのが貼ってあります。まぁ悪いけど、本気で取り組んでいるというようには感じないです」

 今、日米問わず、野球界も改善点と向き合っている。ただ、山崎さんの言葉はプロ野球を愛し、ファンを大事にしているからこそのこと。魅力あるプロ野球になることを期待したい。

【動画】元パ審判員がプロ野球界へ警笛! 長い試合時間に「悪いけどかったるい」野球ファン注目!

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