日本ハムが新たな形のキャリア支援 大引啓次氏が復帰を前提としないメジャー留学

日本ハムの特別研修コーチとして渡米することになった大引啓次氏【写真:石川加奈子】
日本ハムの特別研修コーチとして渡米することになった大引啓次氏【写真:石川加奈子】

大引氏は日ハムの特別研修コーチとしてレンジャーズに派遣される

 昨季限りで現役引退した大引啓次氏が日本ハムの特別研修コーチとして16日から渡米することになった。日本ハムが業務提携を結ぶテキサス・レンジャーズに派遣され、アリゾナ州サプライズで行われているスプリング・トレーニングに参加するためだ。

 日本ハムは過去にも自チームの指導者養成のために、引退した選手を提携先に派遣してきた。金子誠野手総合コーチや矢野謙次外野手守備コーチ兼打撃コーチ補佐は米国でコーチ修行を行い、武田勝投手コーチは独立リーグ・ルートインBCリーグの石川ミリオンスターズで監督として経験を積んだ。

 だが、今回の大引氏の場合はこれまでの派遣とは意味合いが異なる。シーズン中に3度、通算5か月半に渡って米国で研修を行う予定だが、帰国後については未定。そもそも大引氏は来年春から2年間大学院に通い、アマチュアの指導に関わりたいという意向を持っている。今回学んだことを球団に還元するための“留学”ではないのだ。

 球団初となるこの「特別研修コーチ」というポストは一体どのような経緯で誕生したのだろうか。日本ハムの吉村浩GMは「基本的には彼の指導者への道をサポートするという形です。キャプテンとしてファイターズでも貢献した選手ですから」と説明する。

 米国の野球を学びたいという大引氏の願いを叶えたのは、チームのためではなく、広く野球界のため。レンジャーズ側からは日本の野球を学びたいという要望もあり、大引氏の派遣は“交換留学”の意味合いもあった。

 2013、14年の2年間在籍した古巣の計らいに感謝する大引氏は「カテゴリー的に幅の広い選手がいるので、どういうステップを踏んだらメジャーリーガーになれるのか。どういう指導、どういう環境の下で過ごしているのか。いろんなところで聞いてみたい。大学院での研究テーマも見つけられたら」と目を輝かせた。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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