森が示した抜け目ない西武の伝統 “伝説の辻走塁”彷彿に指揮官「すごい走り方」

西武・森友哉【写真:宮脇広久】
西武・森友哉【写真:宮脇広久】

馬場作戦兼走塁コーチも驚き「スタートが早すぎると思ったけど」

■西武 11-5 広島(オープン戦・7日・マツダスタジアム)

 西武は辻発彦監督就任以来、昨年まで3年連続でチーム打率と総得点がリーグトップを誇っているが、抜群の得点力の理由は選手個々の打力だけではない。それを象徴する場面が、19安打11得点で大勝した7日の広島とのオープン戦(マツダ)でも展開された。

 3点リードで迎えた2回2死満塁の場面で山川が中前打を放つと、三走、二走に続き、一塁走者の森友哉までが必死の形相で三塁を蹴り、生還。シングルヒットで一気に3点を奪ったのである。森は「クロさん(三塁コーチの黒田哲史内野守備走塁コーチ)が腕を回していたので。単打では(一塁から生還したのは)初めてですね」と、してやったり。試合終了後、森はナインから「ナイスラン!」、「さすが会長!(今季から選手会長)」と口々に称えられ、辻監督も「友哉がすごい走り方をした」とうなずいた。「一瞬、スタートが早すぎると思ったけど」とは馬場作戦兼走塁コーチ。「友哉らしい、思い切りのいい走塁だった。カウント3-2、相手投手のジョンソンも振りかぶっていた(ジョンソンはノーワインドアップだが、この時セットポジションは取っていなかった)から、早いスタートが切れた」と説明した黒田コーチの好判断も光った。

 あの“伝説の走塁”を彷彿とさせる。1987年、西武対巨人の日本シリーズ第6戦。3勝2敗で日本一に王手をかけていた西武は、2-1と1点リードで迎えた8回、2死一塁で秋山が中前打を放つと、一塁走者だった当時現役の辻監督が一気にホームイン。とてつもなく貴重な追加点を挙げ、日本一につなげたのだった。センターのクロマティの守備の緩慢さをあらかじめ頭に入れていた、三塁コーチの伊原春樹氏(のちに西武で2度、オリックスで1度監督を務めた)が生んだ名場面ともいわれた。秋山のカウントは0-1だったし、細かい状況にも違いはあるが、この日の森の生還も、相手のわずかなスキを見逃さない、したたかな西武の伝統が生かされた瞬間と言っていいだろう。

 そういえば、前日6日の同カードの8回にも、西武・金子侑司が二盗を決めている。相手投手の新外国人右腕スコットがまだセットポジションに入ったばかりのところで早すぎるスタートを切ったのだが、スコットは全く気付かず、そのまま足を上げて投球した。金子は「細かいことは“企業秘密”なので言えませんが、決してギャンブルではなく、根拠があって、ああいうスタートを切りました」と語っている。

 多彩な攻撃力を持つ西武は今季も、戦力的に圧倒的に上回るといわれるソフトバンクを向こうに回し、激烈な優勝争いを展開しそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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