加藤豪将、柔軟性生かした打撃フォーム習得 支えたのは独特のトレーニング法で鍛えた「身体」

マーリンズ・加藤豪将【写真:木崎英夫】
マーリンズ・加藤豪将【写真:木崎英夫】

加藤は、昨季ヤンキースの3Aで指導を受けたプランティア氏とともにオフも練習に励んだ

 2013年にカリフォルニア州サンディエゴのランチョ・バーナード高校からヤンキースに2巡目でドラフト指名され、ヤンキースに入団した加藤豪将内野手。昨季に傘下のマイナー3Aまでステップアップしたが、契約の壁などもあり悲願の大リーグ昇格はならず。咋オフに環境を変えるためFAを決意した加藤は、マーリンズとマイナー契約を結び、春のキャンプに招待選手として参加している。夢舞台を目指す日々を過ごす加藤豪将の今を「体」、「技」、そして「心」の側面から探る。

 デビュー当時の加藤は188センチの上背に恵まれながらも線が細く、7年のマイナー生活を経てようやく体ががっしりとしてきた。デビュー当時と比べて体重は約10キロ増加。胸部と臀部も大きくなり、新天地のユニホームの着こなしも板に付く。全体練習前に行われる早朝の守備練習を終え、クラブハウスに戻ってきた加藤が汗を拭う腕には、米国人選手によく見られる三角筋や上腕二頭筋が盛り上がる隆々しさはない。ウエイトトレーニングはずっと行っているが軽めのもの。負荷を掛けて作り上げた“見栄えのいい”それとは違う。

 加藤の今の体は、独特の理論に基づいたトレーニングで鍛えられたものだ。

 加藤は16年のオフに知人を介して出会ったアスレチックトレーナーの川尻隆氏が推奨する、機械に頼らないトレーニング法に魅かれた。メニューには、異なる体勢から大きさの違う風船を膨らませて横隔膜を意識しながらの体幹強化やほふく前進などのユニークなものもあり、「体の使い方」を覚えさせることを目的としている。加藤は脳が体をコントロールするレベルを高めるという理論に基づく「体全体を捉えたトレーニング」をオフに徹底して行ってきた。また、地面を蹴る足からの力を無駄なく体に伝える歩き方を意識するなど、日常生活でもその理論を実践している。

 近年、隆盛を極めるデータ測定や動作解析からのパフォーマンスの数値化で技術向上を目指すトレーニング法とは対極の鍛錬には、打撃の際にボールを捉えるまでの一連の体の動きをスムーズにする効果があると加藤は考えていた。

「自分の体に合っているスイングを見つけることが大切だと思いました。人それぞれに全然違う身体なので。自分は日本人でアメリカ人のスイングはできません。自分特有の体に合ったスイングを見つけるのが僕のメインゴールでした」

 世界中から集まってくる若手選手らに交じり経験を積んで来た加藤は、打撃における体の使い方に、こんな見解を示す。

「自分の体は柔軟性があると思っています。アメリカ人選手は僕らに比べて基本的に体が固いんです。ですが、その固さが利点になって打撃フォームがあまり崩れない。トラウト(エンゼルス)はその好例だと思います。彼の体が固いのはある関係者から聞いています。逆に体が柔らかいと、ボールを捉えるバットに理想的な力を伝える腰と肩と腕が連動する動きにズレが生じる時があって、自分に合ったフォームで常に安定して打てなくなることがあります。僕の柔軟性はその点で弱点にもなっていました」

 弱点と化していた体の柔軟性をどう生かすか――。

打撃向上への鍵と捉えるフォームの完成を目指した加藤は、咋シーズン終了後のオフ、サンディエゴの自宅からほど近い所に住むヤンキースのマイナー3Aで指導を受けたフィル・プランティア打撃コーチと二人三脚で取り組み、理想型の域に近づくことができたと言う。

 加藤の声が弾んだ。

「(理想のスイングが)分かってきてます。このオフはプランティアコーチと話をしながら自分の体に一番合うスイングを勉強して、ほぼ出来上がりました。すごく自信が付いて。後はそれを試合に出すだけという感じになりました」

この7年で体重約10キロ増、食が細いためキャンプ中の朝食は3度に分けて摂るという

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