ロッテ福田秀とホークスの間で繰り広げられた“心理戦” 甲斐のボヤキ、松田宣の野次…

ソフトバンク・松田宣浩と談笑するロッテ・福田秀平(右)【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・松田宣浩と談笑するロッテ・福田秀平(右)【写真:藤浦一都】

昨季までプレーしたPayPayドームに敵として来た福田秀「慣れない感じ」

 20日にPayPayドームで行われたソフトバンクとロッテの練習試合。本来であれば、開幕戦として行われるはずだった一戦だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開幕が延期となり、練習試合として行われることになった。

 この試合で1つの注目だったのが、ソフトバンクからロッテへFAで移籍した福田秀平外野手と、古巣ホークスとの対戦。本来であれば、4万人を超える大観衆の中で顔を合わせ、そしてホークスファンからは大ブーイングなのか、はたまた大歓声なのかが、福田秀に送られるという光景が見られるはずだった。

「満員のお客さんの前でやれることを楽しみにしていましたけど、こうなってしまって残念」。試合前、昨季までのチームメートや工藤公康監督、コーチ陣へ挨拶に回った福田秀は、無観客でのPayPayドームへの“凱旋”を残念がっていた。だが、試合が始まってみれば、福田秀とホークスナインの間では、目に見えない激しい戦いが繰り広げられていた。

 この日の福田秀は初回の第1打席でスチュワートから四球を選び、すぐさま“甲斐キャノン”こと甲斐拓也捕手から盗塁を決めた。3回の2打席目も四球で出塁した。5回の第3打席は左飛に倒れたものの、3打席で2出塁。1番で起用され、「四球もヒットと同じ」という福田秀にとっては十分に役割を果たした。甲斐から盗塁を決め「拓也から盗塁を決められたので今日は僕の勝ち」と笑っていた。

 ただ、福田秀に対するホークス側からの“攻撃”も凄かったよう。福田秀は「松田(宣浩)さんはいじってきましたね。野次ですね。今年1年、たくさん野次られるだろうな。拓也も駆け引きなのか、野村さんみたいなボヤキというかささやき戦術というのか、ブツブツ後ろで言ってました」と明かす。シーズンの開幕に向けて、練習試合とはいえ、なかなかの“心理戦”を仕掛けられていたようだ。

 盗塁を決められることになった甲斐はこの日の試合後「めっちゃムカつきます。やられたらやり返します!」とリベンジを誓い、打席内でのやり取りについても「ノーコメントです。独り言かもしれないですよ」と煙幕を張っていた。元チームメートとして、強烈に意識し合っていることがよく分かる。

 福田秀もこの日、中村晃の打席中に間違って「さあいこう!あきら~!」と声をかけてしまう“ミス”をやらかしたという。13年間在籍していた感覚はなかなか抜けないようで「今日は違和感ありましたね。敵として来て、慣れない感じがありました」と振り返る。なんとも、微笑ましく、心温まるような、福田秀とホークスとの関係性。シーズンになっても、互いを意識し合い、名勝負を見せて欲しい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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