西武の“打高投低”が続く理由 球団関係者「投手陣の伝統がプツリと切れてしまった」

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】
西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

21日に登板した開幕ローテとして期待がかかる松本は炎上、指揮官は不満気

 西武は21日の日本ハムとのオープン戦(メットライフ)に、ドラフト1位の2年目松本航投手が先発。3回までは快調に無失点に抑えていたが、4回に突然乱れ、2四球後にビヤヌエバに3ランを浴びるなど一挙4失点と炎上した。

 松本は練習試合、オープン戦を通じて好投を続け、ニール、高橋とともに開幕先発ローテ入り確定。残り3枠を松坂らが争う展開になっている。辻監督は、松本にかける期待が大きいだけに、「3回まで安定していたが、50~60球くらいで球速もキレも落ちた。先発するヤツがそれじゃあダメでしょ。100球を超えてあれくらいならまだしも」と注文を付けた。

 一方、10安打(4得点)を放った打線は依然好調。秋山(現レッズ)はメジャーリーグに流出したが、新外国人のスパンジェンバーグが「選球眼が良くて、出塁率と脚力が魅力」(辻監督)と評価が高い。この日は、そのスパンジェンバーグが「9番・左翼」で先発したが、辻監督は「ウチの場合、9番は(相手投手にとって)楽な所ではない。9番は1番でもある。昨年は木村や金子が務めたように、塁に出て脚がある選手がいるのが強み」と胸を張る。

 西武は18年、19年と2年連続、チーム打率と総得点がリーグトップで、チーム防御率は対照的にリーグワースト。“打高投低”の傾向は今季も続きそうな雲行きだ。球団関係者は「野手の方は、チームリーダーの栗山や、練習量にかけてはおそらく球界屈指の山川がいて、後輩に影響を与え、いい伝統ができている。しかし投手は、涌井(現楽天)や岸(同)がFAで出ていった上、菊池雄星(現マリナーズ)は真の投手陣のリーダーになる前に27歳で早々とメジャーに行ってしまい、伝統がプツリと切れてしまった」と解説する。

 実際、野手陣では、昨季に投手から外野手に転向し売り出し中の川越が、山川に弟子入り。今もたびたび、オープン戦や練習試合の終了後、山川と2人でグラウンドに居残り、特注の長くて重いノックバットを使ってロングティーに取り組んでいる。

 投手陣にもかつてのよき伝統を取り戻すことが、松坂を14年ぶりに呼び戻した狙いのひとつなのかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY