ロッテ佐々木朗のスライダーは“魔球”? 吉井コーチ太鼓判「想像では打てそうにない」
「想像では、球種を伝えなければ打てそうにないと思った」
ロッテのドラフト1位ルーキー・佐々木朗希投手が27日、プロ入り後2度目の打撃投手を務め、初めて打者相手に変化球を交えて投げた。見守った吉井理人投手コーチは「高卒で入ってきた18歳が、いきなりあんな風にバッピ(バッティングピッチャー=打撃投手)をできるものではない。変化球もそこそこストライクが入っていたし、あれだけ注目されてしっかり投げられるのはすごい」とこれまで通り、賛辞を並べた。
初めて打撃投手を務めた24日から中2日で変化球を解禁した。スライダーは井口監督も驚かせるキレだったが、フォークは抜ける場面もあった。吉井投手コーチは「(フリー打撃前の)ブルペンと比べると、直球は変わらなかったが、変化球はブルペンの方がバランスよく投げていた。どんな投手でも、打者が立つと、よりいいところに投げようと思うので、フォークが抜けていた。そういうところは、普通の高校生だなと思いました」と振り返った。
安田、山口が交互に打席に入った。佐々木朗は計40球を投じたが、ちょうど半分の20球を終えたところで休憩を入れさせた。吉井コーチは「あの子はテンポが速いんで、惰性になって最後にバランスを崩さないように、休憩を入れてじっくり投げさせました」と説明した。
佐々木朗はこの日も、2種類のスライダーを投げ分けていた。ストライクを取るものと、ストライクゾーンからボールゾーンへと曲がり空振りを誘うものだが、打撃投手はあらかじめ球種を伝えてから投げるので、後者に対して相手打者はまず振ってこない。吉井コーチは「佐々木もブルペンでそのことを気にしていて、『バッター、振ってこないっすよね?』と言っていた。『今日は相手が振ってくる振ってこないに関係なく、思い通りの球を投げてみい』と伝えた」という。
そこで楽しみになるのが実戦形式のシート打撃の登板である。1週間後の4月3日に予定されている。「球種を教えないでやった時の、相手打者の反応が分かる」と吉井コーチ。果たして、佐々木朗のボールになるスライダーをプロの打者が振らされるのかどうか――。吉井投手コーチは「やってみないと分からない」と言いつつ、「想像では、打てそうにないと思った」と付け加えた。
独自の育成プラグラムに従い、ようやく“真剣勝負”に近いところまでこぎつけた佐々木朗。吉井コーチは「(佐々木朗には早く打者と勝負したい気持ちが)あったと思うが、『投げたい投げたい』とは言わず、我慢して一生懸命投げていた」と評した。令和の怪物が着実に実戦モードに近づいている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)