「その言葉に嘘はないか?」 甲子園通算23勝の名将が新天地でナインと交わした約束

オリックス山崎勝己捕手から託されたストップウォッチ

 報徳学園から掲げてきた「全員野球」を新天地でも継承していく。厳しい練習にも歯を食いしばり、チームが一つになっていく過程をこれまで何度も見てきた。日大三島での初練習前にはミーティングを行い生徒たちの意思を確認した。

「『甲子園に行きたい』と。その言葉に嘘はないか? と聞いたら嘘はないと。だったら、こっちも全力でやる」

 赴任前には新たな門出を祝い多くの教え子たちから激励を受けた。その中で現在はオリックスでプレーする山崎勝己捕手の代からはストップウォッチがプレゼントされた。報徳学園には200メートルトラックを設定されたタイムで駆け抜ける名物練習「トラックダッシュ(TD)」が存在する。

 過去のOBたちは“鬼ノック”と“TD”をこなし、チームが一体となり「逆転の報徳」と言われる底力を発揮してきた。日大三島には野球部グラウンドの隣に報徳学園の倍となる400メートルトラックが設置されている。伝統の練習が新チームでも行われるかは分からない。それでも、初日の練習にはストップウォッチを片手にする永田監督の姿があった。

 来春には寮が新設される予定で永田監督も寮生と寝食を共にする。「56歳にして新天地で出来ることに感謝。一心不乱に一生懸命やっていく。チャレンジ…新たなチャレンジですよ」。65歳の定年まで残り9年間、指揮官の挑戦は始まったばかりだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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