GG賞は守備の上手い人が選ばれているか? 守備データと投票結果を検証【2019年セ編】
坂本が選出された遊撃手だが、守備指標で見ると中日京田が群を抜く
4年連続でロペスが選ばれた一塁手で、守備指標が優れていたのはヤクルトの村上宗隆。ロペスの1237イニングに対し、村上は1024イニングと少ないが、UZRは4.2。0.3のロペスを3.9ポイント上回る。UZRのセ2位は中日のビシエドでロペスは3位。対照的に、投票では村上にはわずか6票しか入っておらず、4位だった。村上は三塁で10失策しており、その印象も大きかったか。
二塁手では広島の菊池が7年連続で受賞。信じられないようなファインプレーを見せてくれるだけに、納得の結果だ。ただ、守備の指標で見ると、最も優秀だったのは中日の阿部寿樹になる。UZRは12球団の正二塁手でトップの10.8。5.1だった菊池を5ポイント以上上回る。
中日の高橋が初受賞した三塁手。UZRでトップだったのは阪神の大山悠輔だった。ただ、UZR6.0だった高橋との差は1.5の7.5で大きな差があったわけではない。大山は三塁手でワーストの20失策を犯しており、この失策数の多さが結果に現れたか。
そして、遊撃手。巨人の坂本勇人が2年ぶり3度目の受賞を果たしているが、守備指標でいえば、中日の京田陽太がセ・リーグの中で頭1つ、2つ抜けている。UZR22.4、守備範囲を示す「RngR」の14.3はいずれもリーグトップ。一方の坂本はUZR-3.0、RngRは-3.3。指標上は平均の「0」を下回り、DeNAの大和や広島の田中よりも低くなっている。
巨人の丸、広島の鈴木、中日の大島が選ばれた外野手はどうか。丸と大島は中堅手、鈴木は右翼手で、それぞれのポジションで比較検証してみる。丸のUZR8.7はリーグ2位と高い数字にあり、選出は納得の数字。この丸をも上回っていたのがDeNAの神里だ。出場イニングは少ないが、UZR10.9は12球団トップと秀でている。ただ、投票では外野手全体で8位の11票だった。
対象的に大島はUZR-11.4。ただ、大島は2018年にはUZR11.9、RngR10.3と高い数字を残しており、様々な要因によりブレが生じた可能性も否定はできない。2018年の守備の印象がプラスに働いたか。右翼手ではUZRこそ中日の平田が1位だが、鈴木との差はわずか。そして巨人のベテラン亀井もUZR8.3と2人に匹敵する数字だった。
このように守備指標から見る守備の上手い選手と、実際にゴールデン・グラブ賞の受賞者を検証してみると、違いがあることが分かる。こうして、データも見ながら野球を見ると、また1つ楽しみが生まれるのではないだろうか。