【消えた選抜からの道6】「仕方のないことは考えない」 中京大中京が過ごす雌伏の時

昨秋の神宮王者として選抜に臨む予定だった中京大中京ナイン【写真:小西亮(1月24日撮影)】
昨秋の神宮王者として選抜に臨む予定だった中京大中京ナイン【写真:小西亮(1月24日撮影)】

「選抜まであと7日」の文字を、選手自ら「夏まであと114日」に

 新型コロナウイルスの感染拡大で大会史上初の中止となった第92回選抜高校野球大会。今なお収束の兆しは見えず、夏の予選をはじめ先行き不透明な状況が続く中、各校の監督、選手はどんな思いで日々を送っているのか。各校が夏に向けて試行錯誤するなか、昨秋神宮大会王者の中京大中京では全体練習を中止、特別な取り組みをすることなくただひたすらに“我慢”の時間を過ごしている。夏に向けて不安はないのか、高橋源一郎監督に訊いた。

「選抜は考えても仕方のないこと。我々は大会の主催者に従うだけです。無観客か中止かに左右されるのではなく、準備をするだけ。個々の選手のモチベーションまではわかりませんが、予想よりも落ち込みは少なかった。強がってるような感じで、気丈に振舞っていたと思います」

 3月12日、選抜中止発表翌日のミーティングを高橋監督はそう振り返る。指揮官は多くを語らなかったが、その思いを知ってか知らずか、選手はその場ですぐさまスコアボードに記された「選抜まであと7日」の文言を「夏まであと114日」に書き換えたという。しばらくは朝夕のラッシュを避け時間を短縮しての練習を行っていたが、愛知県が独自に緊急事態宣言を出す直前の4月10日から全体を完全自粛。現在は特に指示を出すこともなく、練習メニューも選手の自主性に一任している。

「今は何もしていません。解散の前にもあまり細かいことは指示せず、できることを考えてやるようにと伝えました。あれをしろ、これをしろとは言えるような状況じゃないですから。私がしたことといえば主将と一度連絡をとったくらい。チームにとって今自分に何ができるのか。ある程度任せることも選手を伸ばすことにつながるので」

「今考えても仕方のないことは考えない」 指揮官が見ている本質

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