元鷹ズレータ氏、マウンドで泣き崩れた斉藤和巳氏への思い 「リスペクトの気持ちを生んだ」

今でも鮮明に思い出す、日本シリーズのサヨナラヒット

――2003年の日本シリーズの第1戦ではサヨナラヒット。打った瞬間の気持ちは?
「9回でした……あぁ、思い出して、たった今も鳥肌が立っています(笑)。あの打席では、チームのためだけではなく、ホークスファンのために打たねばならないと感じていました。すべての野球選手が憧れ、待ち望む場だからです。9回2死、相手投手は阪神安藤(優也)投手だったと思います。この場面では、安藤投手は絶対に失点できない、私に投げるボールすべてをスイングしてほしい、また、ストライクを私に投げたくないと考えているに違いないと感じていました。

 なので、私は特にストライクゾーンより外れるボールについて集中していました。実際に来たボールを打った瞬間、私はボールの行方を追いかけていました。一方で心の中では全力疾走しなければならないと考えていました。なぜなら、この試合は何としてでも勝利しなければならないと考えていたからです。しかし、なぜか球場内のホークスファンが叫んでいたのが聞こえたので、レフトのほうへ視線を移しました。すると、阪神のレフトの選手がフェンス際に走りながらダイブし、打球を捕れなかったことを確認しました。

 そのときの気持ちは最高でしたし、それほど遠くに打球を飛ばしていたとは思っていませんでした。そして、ボールはフェンスに当たり、サヨナラランナーがホームインし、サヨナラ勝ちしました。この瞬間は一生忘れないですし、私の人生において子供、友人、そして家族と共有できる最高の瞬間でした。この出来事は私の野球人生において間違いなく最高の瞬間でした」

――最終的に2003年の日本シリーズで優勝、その時の気持ちは?
「日本シリーズの勝利は最高でした。なぜなら、チームメートとファンがいつも私に良くしてくれたからです。あの気持ちを描写するのはとても難しいです。私はあまり泣きませんが、勝利した瞬間とても感傷的になりました。目から涙があふれ、言葉にできない素晴らしい瞬間で幸せでした」

――日本のファンについてどのような印象を持たれましたか?
「私は米国・北米・日本にて17年間プロ野球人生を歩みました。日本の野球ファンの試合に入り込んで応援する様子は、来日したときに、人生で初めて見るものでした。選手目線で言うと、ファンの応援は集中と自信を与えてくれましたし、勝つためのモチベーションをくれました。

 来日した当初、打席中に一度バッターボックスを外し、いっせいに大声で応援している球場内のファンを見渡し、こう思いました。このような経験は人生で一回もしたことはないと。そして、彼らのためにプレーをしたいと思いました。日本の野球ファンは感情的で、とても野球が好きで野球を愛しています。勝とうが負けようがいつもファンは球場を一杯にしてくれました。

 特に、日本の野球ファンの好きなところは、試合終了後に球場に少し残って皆でうれしさや悲しさを分かち合うところです。そして、ファンは次の日の成功をいつも願ってくれます。それが一番印象的です。私にとって、日本の野球ファンは唯一無二であり、世界一です。日本の野球ファンの振る舞いを知ることができ、私もその一部になれたことに感謝しています」

最高の投手であり、良き友人。斉藤和巳への思い

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