申告敬遠導入から2年間で故意四球は約2倍に 投手起用の流れ、ドラマは無くなった?

導入直後の2018年は規定投球回に達した先発投手の平均故意四球数が1.9個と大幅に増加
導入直後の2018年は規定投球回に達した先発投手の平均故意四球数が1.9個と大幅に増加

投手の個人成績から読み取れる「申告敬遠」ブーム

 続いて投手の個人成績から敬遠数の推移を見ていく。まず先発投手から確認すると、2016年は「規定投球回に到達した上で2個以上の故意四球を与えた投手」が元ロッテのスタンリッジ氏のみ。翌年も岸孝之投手、二木康太投手の2名だったのに対し、申告敬遠の導入された2018年は涌井秀章投手(当時・ロッテ)の4つ、岸孝之投手の3つを筆頭に5人が2個以上の故意四球を記録していた。

 規定投球回に達した投手の平均でも、導入前の2年間が0.6個、0.7個と推移していたのに対し、2018年は1.9個と大幅に増加。球界全体での申告敬遠ブームがこの数字にも表れていた。しかし、去年は規定投球回に達した投手が6人と過去4年で最小だったこともあって、敬遠の数は1人あたり0.3個と大きく減少。その数字を大きく減らしたが、先述したようにリーグ全体としての敬遠数は変わっておらず、徐々にその用いられ方が変化していると考えられる。

セーブ数上位5投手の間でも18年、19年はより作戦として選択されやすくなった
セーブ数上位5投手の間でも18年、19年はより作戦として選択されやすくなった

 次に中継ぎ投手の成績を見ていこう。最初に過去4年間、シーズンでのセーブ数上位5名の故意四球数を確認すると、2016年はサファテ投手が1つ、増田達至投手が5つ、2017年は増田達至投手が2つ、増井浩俊投手が1つ、その他の投手は0となっている一方、18年、19年は上位5名にすべて故意四球が記録されている。

 楽天・松井裕樹投手を例にとると、2016年、2017年は故意四球が0だったのに対し、申告敬遠の導入以降は2018年に2個、2019年にも同様に2つの故意四球を記録しており、より作戦として選択されやすくなったことが伺える。

2シーズンを経て運用が確立されつつある「申告敬遠」

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