北海道初戦6・30まで1か月以上の“大遠征”も…逆境に強い日本ハムに期待大

日本ハム・栗山監督【写真:石川加奈子】
日本ハム・栗山監督【写真:石川加奈子】

日本ハムは開幕から9試合連続ビジターゲーム、本拠地初戦は6月30日のソフトバンク戦となった

 待ちに待ったプロ野球が19日に開幕する。1日に発表された日程を見ると、日本ハムの本拠地開幕戦は6月30日としばらく先。チームは5月26日から千葉・鎌ヶ谷を拠点に練習しており、1か月以上札幌を離れることになる。ハンディはあるが、2004年の北海道移転後の逆境を乗り越えてきた歴史を振り返れば、やってくれると信じている。

 思い出すのは、04年の北海道移転当時のこと。巨人ファンが大半を占めていた北海道でどれほどのファンを獲得できるかは全くの未知数だった。本拠地開幕戦となった4月2日西武戦の観衆は3万5000人と満員には達していない。4月12日からのオリックス3連戦はいずれも観衆1万人だった。実数発表ではなく主催者発表でこの数字だから道民の関心度はそれほど高いとは言えなかったことが分かる。

 実数発表になった翌05年の本拠地開幕戦(3月28日西武戦)も満員には遠い2万5236人。4月1日のオリックス戦は1万258 人と今では考えられないほど寂しいものだった。だが、ヒルマン監督や新庄剛志外野手が先頭切って実践した“ファンサービスファースト”の理念が着実に浸透。野球を楽しむ新庄の姿はチームメートにも大きな影響を与え、見ているファンをも惹きつけていった。05年オフに就任した高田繁GMを中心としたフロントの戦力強化も実った。06年4月に新庄が引退宣言した後、チームが一丸となって白星を重ねる姿にファンが熱狂し、満員の観衆が選手を乗せるという好循環で44年ぶりの日本一に輝いた。

 常勝チームへの礎を築き始めた09年には、インフルエンザ禍に見舞われた。8月18日に新型を含むインフルエンザの集団感染が発覚。大野奨太捕手や宮西尚生投手、スレッジ外野手ら5人が陽性と診断された。翌19日には、糸井嘉男外野手や小谷野栄一内野手、鶴岡慎也捕手ら6選手が簡易検査で陰性ながらも微熱を訴えて戦列を離れた。20日の楽天戦(札幌ドーム)はベンチ入り19人と手負いの状態で戦った。18日の楽天戦から6連敗を喫したが、直前まであった貯金「26」が効いた。梨田昌孝監督の下、苦難を乗り越えてリーグ制覇した。

 現在置かれた状況も恵まれているとは言えない。1軍本拠地のある札幌と2軍本拠地のある鎌ケ谷が離れていることあり、チーム練習再開は5月26日と他球団に比べて遅かった。さらに、札幌ドームでの試合が行われる6月30日まで、札幌に自宅を構える選手は長期遠征を強いられる。それでも栗山英樹監督や選手から待ちに待ったシーズンに向けて前向きな声が伝わってくる。

 北海道は全国に先駆けて2月末に独自の緊急事態宣言が出され、今も新規感染者の発生が続いている。魂のプレーで北海道に明るい話題を届けてほしい。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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