ビジネス航空券にホテル高級室、デザートも!? 大リーガーの不思議な契約事情
米ロサンゼルス・タイムズは「不思議だが本当のMLB契約手当」を特集した
契約金に上乗せして出来高に応じた報酬を支払うインセンティブ契約。MLBでも一般的な制度だが、海の向こうではその事情も多種多様だ。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」が「ホテルのスイートルームからゼラチンのスイーツまで、不思議だが本当のMLB契約手当」との見出しで、そのユニークなインセンティブ事情を伝えている。
日本とは桁違いの高額契約となることも少なくないMLB。それだけに、球団側も単に金額を上乗せするだけでなく、合意に至るためのクリエイティブな方法を模索している。その結果、契約内容も俳句のように簡潔なものから、小説ほどもあろうかという複雑なものまで様々だ。
2月にツインズに移籍した前田健太投手には背番号「18」が確約され、これまで「18」をつけていたミッチ・ガーバー捕手からその番号を譲り受けた。また、2016年に前田がドジャースと結んだ8年契約では日米間のビジネスクラスの航空券4往復分などが盛り込まれていたという。
日本人選手にとっては通訳やサポートスタッフも人気のインセンティブのひとつ。ヤンキースの田中将大投手には2200万ドル(約23億8000万円)の年俸に加え、ニューヨークへの引っ越し手当として3万5000ドル(約380万円)、住居手当として10万ドル(約1100万円)、通訳への給与分8万5000ドル(約920万円)、日米間のファーストクラスの航空券4往復分などが支払われている。
また、なかには逆に支払いを義務付けるものも。ヤンキースのジャンカルロ・スタントンとレッズのマイク・ムスタカスは給与の1%を球団のチャリティーに寄付することが契約で義務付けられている。フィリーズのブライス・ハーパーやエンゼルスのマイク・トラウトなど、遠征先のホテルでのスイートルームの宿泊を契約に含む一流選手も多い。
球団は本塁打数や奪三振数など、パフォーマンスベースの出来高をオファーすることはできないが、打撃タイトルやMVP投票で上位に入るなど、賞獲得に対するボーナスは珍しくない。これには真っ当な報酬というより、内輪ネタのような性質のもの多く含まれているという。
すでに引退している選手たちにも面白い契約を結んでいた選手たちがいる。例えば、ツインズ、フィリーズなどで活躍し、2012年に14年のキャリアに幕を下ろした救援投手のJC・ロメロはメジャーで4度しか打席に立っていないが、打撃面でナ・リーグ最高の投手になったら5万ドル(約543万円)という条項がフィリーズとの契約に盛り込まれていた。1985年からアストロズ、ブレーブスで投手としてプレーしたチャーリー・カーフェルドは2度目のメジャー契約の際、背番号の37とアストロズのオレンジのユニホームにかけて、オレンジゼリー37箱が約束されていたという。さらには「MVPの選出されない地区シリーズで、MVPを受賞したらボーナス」という頓智のようなものまであったそうだ。
非常にユニークなメジャーでのインセンティブ契約の数々。こと契約や金銭に関しては生々しい話になりがちなものだが、記事では「時として、必要なものはユーモアのセンスとゼリーなのかもしれない」と結んでいる。
(Full-Count編集部)