開幕は8月に? 折り合わぬ機構と選手会を米敏腕記者が断罪「幼い子供のよう」

大リーグ選手会の役員を務めるナショナルズのマックス・シャーザー【写真:Getty Images】
大リーグ選手会の役員を務めるナショナルズのマックス・シャーザー【写真:Getty Images】

準備期間を踏まえると「7月4日の開幕の望みは過去のもの」

 新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が延期となったままの米メジャーリーグ。7月4日(日本時間5日)の開幕を目指して、MLB機構と選手会で事務折衝が行われてきたが、機構側が提示した新年俸削減案に選手会側が難色を示すなど交渉は難航し、いまだ折り合わないままとなっている。

 選手会側は114試合制、試合数に比例した年俸支払いを提案するも、これをMLBとオーナーサイドが拒否。MLBとオーナーサイドは82試合案や50試合案を提示しているものの、年俸が大幅に削減されることなどから選手会側が難色を示しており、交渉はいまだに合意していない。

 米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」の敏腕記者ケン・ローゼンタール氏はいつまでたっても合意しない両者の交渉から、同メディアで「7月4日の開幕の望みは過去のものとなった。合意には程遠い」とするコラムを執筆。MLBは7月4日には開幕できないとする見通しを立てている。

 記事では「MLBは7月4日に開幕することを目標にしていた。覚えているだろうか? しかし、7月4日にMLBが開幕を迎える可能性は過去のものとなった。国がより大きな不安に直面しているこんな時に、選手とオーナーはお互いへの不信感を取り除くことができずに、プランの合意に至ることが出来なかったために、だ」と言及。当初、想定されていた7月4日の開幕はもはや不可能になったと指摘した。

 その要因として「7月4日まで、すでに1か月を切っている」とするローゼンタール氏。現段階で合意に至ったとしても、7月4日まで1か月もない。開幕までに約3週間のスプリングトレーニングの期間が必要となる。さらに、同氏によれば、新型コロナウイルスの感染拡大を予防策に対応するため、スプリングトレーニング再開に向けた施設や球場の準備に少なくとも10日ほどは要するという。

 また、選手たちの準備にも時間がいる。日本に帰国しているヤンキースの田中将大投手やブルージェイズの山口俊投手、レイズの筒香嘉智外野手といった米国を離れている選手たちには、より一層の準備期間が必要に。こうした点を考慮すれば、すでに1か月を切った7月4日の開幕は不可能だという。

 ローゼンタール氏は互いが譲歩しないMLBと選手会の双方の姿勢を批判する。記事では「両者の争いは、普通の状況でも見たくないことだ。だが、新型コロナウイルスの死者が10万人を超え、過去3か月の失業者数は4200万人を超え、ジョージ・フロイドの死から始まったアフリカ系アメリカ人に対する警察の扱いへの不満が爆発した中で(選手会とMLBが争っていることは)驚きとしか言いようがない。まるで、両者は部屋の隅にそれぞれのおもちゃをもって座って、一緒に遊ぶのを拒んでいる幼い子供のようだ」と斬り捨てている。

 ローゼンタール氏は「このような状況のなか、シーズンのスタートが8月まで延びることは容易に想像できる。そうなると、50~60試合のプランが、唯一の残されたオプションだろう」とし、MLBの開幕は8月までズレ込むことになると見通しを立てている。着地点が見えないMLBと選手会側の交渉。その溝が埋まらない限り、MLBの開幕はやってこない。

(Full-Count編集部)

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