最高のナックルカーブは「我らがダルビッシュ有」 お股ニキが選ぶ魔球の使い手は?

ダルビッシュを「打つのは難しい」と唸らせた投手とは…?

【2位】ヘルマン・マルケス(ロッキーズ)右投 ナックルカーブ
回転効率28.5% 平均球速83.2マイル(約133.9キロ) Spin Axis 9:09 2693回転
空振り率24.0% 投球割合23.47% 被打率.130 ピッチバリュー/100:2.4

 ロッキーズのエース、ヘルマン・マルケスのナックルカーブは、カーブにしてはスピードが80マイル(約130キロ)超と速く、ジャイロ回転を持つため少し遅いスラッターのように縦にカクッと落ちて原点(※1)近くに変化する。ひょっとすると、この実質は遅いスラッターのようなナックルカーブと、速いスラット型スライダーとを投げ分けているのかもしれない。ダルビッシュは2019年6月5日と10日、2戦連続でマルケスと投げあった。その際、実際に彼のナックルカーブを打席で見て、打つのは難しいと感じたという。

 昨季中盤以降はスラッター偏重配球となって自滅することが多く、成績が降下していった。標高1600メートルの高地で空気が薄く、ボールの変化量が小さくなりがちな本拠地クアーズフィールドでは、このナックルカーブの比率を上げていくことも、成功するためには必要かもしれない。さらに本拠地では4シームの伸びも減少傾向にあるよう。これらを克服するか、他球団に移籍すれば、サイ・ヤング賞候補にもなれるだろう。

※1 完全なジャイロボールで左右に全く変化せず重力でのみ落下するボールの変化量を縦、横変化(0,0)の原点とする。

【3位】チャーリー・モートン(レイズ)右投 ナックルカーブ
回転効率88.5% 平均球速77.18マイル(約124.2キロ) Spin Axis 8:02 2886回転
空振り率16.9% 投球割合37.34% 被打率.151 ピッチバリュー/100:2.1

 キャリア前半は軟投派のイメージが強かったチャーリー・モートン。「もっと速い球を投げてみたら」と言われたこともあるというが、今では最速98マイル(約159キロ)に達する速球を操る。パイレーツ時代の2012年にトミー・ジョン手術。復帰後は、2シームを多投しながらデータ分析によるシフトと組み合わせ、ゴロを打たせて取る投球を目指していた。だが、2017年にアストロズに移籍すると路線変更。2シームを減らして4シームとカーブを増やして奪三振率がアップしたが、その最大の武器がナックルカーブである

 斜め横に大きく曲がり、左バッターの股の下を抜けていくほどの変化を持つ。実質はスラーブとも言えるナックルカーブを中心に攻めるモートンは、レイズ移籍1年目の昨季、被本塁打を少なくまとめ上げて、サイ・ヤング賞レースでア・リーグの3位に食い込んだ。1位のバーランダー、2位のコールとはアストロズ時代の同僚であり、このことからもアストロズの投球改革およびレイズの投球指導の適切性が分かるというものだ。ストラスバーグのカーブとも悩んだが、昨年の成績でモートンを選出させていただいた。

ベテランになったサイ・ヤング賞投手に活路を与えたスローカーブ

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