「今日も行ける」雰囲気にする鈴木大地の献身 専門家が語る楽天好調の要因とは?

楽天・鈴木大地【写真:荒川祐史】
楽天・鈴木大地【写真:荒川祐史】

アウトになっても得点演出、打っても勝ち越しの2点二塁打

■楽天 9-1 ソフトバンク(9日・PayPayドーム)

 楽天は敵地・PayPayドームでソフトバンクと対戦し、9-1で快勝した。攻撃の中心にいたのは今季、ロッテから加入した鈴木大地内野手。5打数2安打2打点の活躍を見せた。ヤクルト、楽天でプレーし、引退後はヤクルトとソフトバンクでコーチを務めた飯田哲也氏は、初回無死二塁の二ゴロ、進塁打となった打席に注目。流れるようにあっさりと楽天が奪った先制点を「理想的な1点だった」とポイントに挙げた。

 初回、ソフトバンク先発のバンデンハークは制球が定まらず、1番の小深田を四球で歩かせた。一塁へのけん制悪送球で無死二塁とすると、2番の鈴木は二塁ゴロを放ち、1死三塁とチャンスメーク。3番のブラッシュの中犠飛で先制。たった9球で1点を奪った。

「理想的な1点の取り方でした。1番打者が塁に出て、生還すると『今日も行ける』という勢いとなります」。飯田氏自身もヤクルト黄金期にリードオフマンとして活躍。そのような試合展開で何度も白星を重ねてきた。

 楽天打線を見渡すと3番・ブラッシュ、4番・浅村、5番・島内、6番・ロメロと好調かつ強打者が続く。「鈴木選手が2番に使えるのは大きい。自己犠牲ができるし、つなぎ役もできるし、走者も返せる打撃もする」。楽天は1-1と同点に追いつかれがた、5回2死から満塁のチャンスを作ると、今度は鈴木がバンデンハークから、真っすぐを狙い済まして、左中間へ2点二塁打を放った。これが決勝打。打率も、得点圏打率も高いのもうなづける思い切った打席だった。

 6回の打席では四球を選び、この回、4得点を奪う攻撃につなげた。日本でも、2番打者に強打者を置くチームも増えているが、1番打者として活躍した飯田氏は自身の理想としては、「ボール球を振らない、選球眼の良い打者、左バッターが最適です」と鈴木のような選手を挙げる。走者が一塁の時に引っ張って進塁打が打てることや、左投手と対戦した時にバントを成功しやすいという利点がある。強力打線の中で、鈴木のような存在が楽天の強さの秘訣といえそうだ。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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