計算通りに打者を罠にはめるチェンジアップ お股ニキが選ぶメジャー厳選4投手
お股ニキ脱帽 4シームより速いチェンジアップとは…!?
【プラス1】ザック・グリンキー(アストロズ)右投
回転効率68.6% 平均球速87.05マイル(約140.1キロ) Spin Axis 2:21 1779回転
空振り率14.0% 使用割合21.92% 被打率.194 ピッチバリュー/100 2.7
メジャー投手の中でも曲者的存在のグリンキー。特Aクラスの投球術の持ち主は、あらゆる球種で顔を出す。2018年ならマエケン(前田健太)のスプリットチェンジも取り上げたかったが、昨年はやや質を落としたため、スローカーブに加えてグリンキーのチェンジアップを「プラス1」としたい。
2015年頃から当時マリナーズのエースだったフェリックス・ヘルナンデスの高速チェンジアップを真似し、習得してしまったグリンキー。全盛期だった2015年は、95マイル(約152.9キロ)のまっスラ4シーム、88マイル(約141.6キロ)前後のスラット、そしてこのチェンジアップに、たまにスローカーブを織り交ぜる王道ピッチでシーズンを通じて防御率1点台を記録。サイ・ヤング賞投票では2位に入ったが、その後スピードの低下が顕著となる。
元々アームアングルの高いグリンキーが、やや低めのヘルナンデスが投げる高速チェンジアップを習得してしまったことだけでも驚きだが、年齢を重ねて球速が出なくなると、チェンジアップの方が4シームよりも速くなるような調整すら行っていた。落ちるボールがストレートより速いスピードで落ちるのである。軌道偽装という意味でも満点だろう。
また、マイナーと同様に外角に程よく変化する「併殺スラット」や「併殺チェンジ」で打者を食いつかせ、多くの併殺を奪うことができる。スローカーブに加え、にわかには信じがたいような投球術の持ち主だ。
※回転効率:総回転数のうちボールの変化に影響を与える回転数の割合。
※Spin Axis:回転軸の傾き 時計盤の中心にボールがあると考えて“時間”で表記。例えば「6:00」の場合、ボールは投手からホーム方向へ12時から6時へ下向きの回転(トップスピン)をすることを示す。「12:00」の場合は6時から12時へ上向きの回転(バックスピン)、「3:00」の場合は9時から3時へフリスビーのような右向きの回転(サイドスピン)、「9:00」の場合は3時から9時へ左向きの回転(サイドスピン)となる。
※ピッチバリュー/100:その球種が生み出した得点貢献(期待失点の減少)を、100球投じた場合の平均に直したもの。例えば、ある投手の4シームが2.00ならば、「4シームを100球投げることで平均よりも2点の失点を減らした」ことになる。