減少する“お化けフォーク” 専門家が分析する千賀対日本ハム打線の分水嶺とは?
フォークが少なく、本来のキレではなかったことで「遥輝は割り切れたかも」
その証拠に、三振数はわずかに3つ。過去2戦の6奪三振から半減した。「今回の球数は116球で、内訳はカット40、スライダー17、フォーク13。前回も同じくらいの115球で、カット30、スライダー12、フォーク22だった。今回に関してはフォークが信用出来る球ではなかったのだろう」と推し量る。
その伝家の宝刀が、勝負の分水嶺となった一打にも影響したのではないかー。そう森脇氏は見る。1点リードの7回2死三塁で日本ハムの1番・西川遥輝外野手を迎えた場面だ。ストレートとカットで追い込み、1ボール2ストライク。「どこでフォークを投げにいくのかな」と森脇氏は注目していたが、続く4球目は155キロの直球でファウル。そして5球目に投じた内角の156キロ直球をうまく振り抜かれ、右翼フェンス直撃の二塁打で同点にされた。
「本来、打者は2ストライク後には変化球マークで対応するのが常套手段だが、本調子の千賀だとそうは行かず割り切る必要がある。ただ今回は、フォークが少なかったという点、またいつものフォークではなかったことは遥輝にとっても、いつもの対戦よりは割り切れたかもしれない(2打席目にはフォーク2球を見逃してボール、3打席目はフォークを中飛にしていた)。観察の勝利で、勝負心に満ちた打撃には称賛しかない」
やはり千賀にとってフォークは生命線のひとつ。感覚を取り戻すためにも「ある程度、実戦の中で投げていくことも1つかもしれません」と森脇氏はいう。女房役の甲斐拓也捕手がしっかり止めてくれるという信頼感もあるだけに、試合のマウンドで試行錯誤を繰り返すプランも示す。
並の投手なら7回途中2失点は十分に及第点を与えられるが、カード頭を任される不動のエース。「千賀本人が求めているもの、周囲が千賀に求めているものもある。ゲームを作る=チームに勝ちを付けるのが千賀の考えるところだろう。今日の116球は大きな意味を持つ。自身に勝ち、次回は本来のスタイルになると確信する」と森脇氏。重責を担う千賀のさらなる奮起が期待される。