DeNA大貫が豪州武者修行で学んだこと 「とにかく厳しい内角を意識して…」

DeNA・大貫晋一【写真:荒川祐史】
DeNA・大貫晋一【写真:荒川祐史】

大貫はヤクルト戦で7回1安打無失点、チームの連敗を6で止めた

■DeNA 6-0 ヤクルト(23日・横浜)

 DeNAは23日、横浜スタジアムで行われたヤクルト戦に6-0で完勝し、7月14日以来となる勝利を挙げた。先発した大貫が7回2死までヤクルト打線をノーヒットに抑える快投で、今季2勝目をマークした。

 大貫は「序盤に野手の方たちに点を取ってもらって、いいリズムで投げることができた」とバックの援護に感謝した。4回には先頭打者の上田を歩かせ、1死後に村上にも四球を与えて1死一、二塁のピンチを迎えたが、西浦を併殺打に打ち取った。「あの場面をダブルプレーで凌ぐことができたことが、一番よかったこと」と振り返った大貫は、5回以降に許した走者は大記録を阻止された西浦の安打のみと完璧な投球だった。

 ラミレス監督は「戸柱の配球がさえていた。カーブやスプリットもいいところで使えていたし、彼のリードがあってこその投球だった」と捕手を褒めたが、「それに応えた大貫もすごい。とにかく配球がよかった」と右腕を評価することも忘れなかった。

 ノーヒットノーランに関して本人は「周囲からもそんな雰囲気は感じられなかったし、全く意識していなかった」と否定したが、「スコアボードを見るとわかってしまうので……」と、少しだけ本音も漏らした。指揮官は「あそこまでいったら打者1人1人、という考えだった。いけるところまでいって、打たれたら交代させようと思っていた。彼にはシンプルにグレートジョブ、よくやってくれたと声をかけた。彼も嬉しそうだったよ」と右腕の快投を喜んだ。

 今季2年目の大貫は、社会人野球の新日鐵住金鹿島からドラフト3位でプロ入りし、ルーキーイヤーから先発で6勝をマークした右腕。昨オフには、オーストラリアのベースボールリーグに派遣された。派遣先では昨季、被打率.376と苦手としていた左打者対策として、カットボールを習得。「持ち球のツーシームを生かすためにカットボールが有効になると思った。ひとつ球種が増えて投球の幅が広がった」と手応えをつかんだ。

 この日はその新球をほとんど使わなかったが、大貫が「左打者だけでなく、右打者にもインコースを使わないと抑えられない。フォアボールを出してもいいと言うぐらいの気持ちで、とにかく厳しいところを意識して投げた。そのあたりもオーストラリアで課題を持ってやっていたこと」と自己分析したように、ラミレス監督が絶賛した投球は、異国での武者修行の賜物だと言える。

 この日の勝利で2連勝となった大貫だが、指揮官が「この2試合は安定した結果が出ているが、まだ文句なしでローテを任せられるというわけではない」と言うように、今季初先発からの登板間隔が中7日、中3日、中10日と、まだ確固とした地位は築いているわけではない。それでも「今回は抹消された後からのチャンスをものにしたわけだし、1試合1試合、進歩しているのは高いポテンシャルがあるからこそ」と期待も大きい。今永や浜口など、左投手ばかりが注目される先発陣で、右の若手先発候補が存在感を増してきた。

(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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