名門帝京に“鬼の前田”復活 コロナ禍での猛檄に主将「あれで目が覚めた」

帝京・前田三夫監督【写真:荒川祐史】
帝京・前田三夫監督【写真:荒川祐史】

近年はスパルタな指導方針を封印も「3年生だけの引退試合じゃねえんだぞ!」とゲキ

 高校野球西東京大会は27日、神宮球場で2回戦が行われ、昨秋準Vの帝京が15-0の5回コールドで目黒学院を下し、3回戦へ駒を進めた。帝京は初回から持ち前の強力打線が爆発。5安打4得点で試合の主導権を握ると、3回には打者一巡の8安打10得点で目黒学院を突き放した。投げては4投手の継投で目黒学院打線を2安打無失点に封じ、投打でつけいる隙を与えなかった。

 近年は甲子園から遠のいているが、言わずと知れた東の名門。甲子園中止の決定に、選手の落胆は大きかった。かつて“鬼の前田”と恐れられた前田三夫監督ですら「指導者としても甲子園がないというのはかわいそう。私はそんなに妥協はしないですが、彼らの姿を見て、情けは禁物だがそういう気持ちはあった」と振り返る。

 だが、悲しみに暮れる選手を鼓舞したのもまた、鬼監督の檄だ。新チームでは前田監督に代わりチームの引き締め役だった加田拓哉主将は「本来チームを鼓舞しなきゃいけない立場の自分も(気持ちが)落ちてた。大会前の練習試合では全員調子が悪くて、監督から『3年生だけの引退試合じゃねえんだぞ!』とかなり強い口調で叱られました」と明かす。

 近年は時代の変化に合わせてスパルタな指導方針は封印していたというが、監督直々の猛檄に選手も発奮。加田も「あれで全員目が覚めました。自分たちはまだまだアカンのやなと思わせていただいた」と感謝の言葉を口にする。

 この日の猛打爆発にも「まだちょっとチグハグなところがある。まだ芯は食ってませんね。こういう大会を開いてくれて、生徒が良しと思った。そこにやや甘えたかな」とチクリと苦言を呈すことも忘れなかった前田監督。コロナ禍での特別な夏、頼もしい鬼監督の“帰還”を選手たちも歓迎している。

(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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