37人の3年生と最後まで一緒に…西東京準Vの佼成学園がひとつになって戦った夏
藤田監督が感じたコロナ禍の戦い「これから多くの監督が変わる」
高校野球西東京大会は7日、ダイワハウススタジアム八王子で決勝戦が行われ佼成学園は延長10回、3-4のサヨナラ負けで東海大菅生に敗れた。
3回、1番飯森太慈外野手が俊足を活かしチャンスを作ると、4番堀川拓真外野手の浅めの犠飛で本塁へ駆け込み1点を先制。その裏同点に追いつかれるも、6回には7番山上大樹内野手の二塁適時打で再び勝ち越しを奪う。終始リードする展開も、9回には東海大菅生が怒涛の粘りで同点に。延長10回、ついに逆転を許し力尽きた。
46年ぶりの優勝にはあと一歩及ばなかったものの、コロナ禍での練習は「プラスなことばっかりだった」と藤田直毅監督。「3年生37人と一緒に最後まで戦えた。そんな大会は今までなかった。例年、6月中旬には出場選手が決まって、一人、また一人と引退していく。最後まで全員で臨めたのはよかったこと」と特例でメンバーの入れ替えが認められた今大会の意義を語る。
長い指導者人生のなかでも、多くの気づきを得た半年間だった。自粛期間中も選手は自らタブレットを使ってオンラインミーティングを重ねていた。校内の消毒や検温も野球部が率先して実施。指揮官にとっても初めての経験に戸惑うことが多いなか、選手の行いには頼もしく思う面も多々あったといい「これから多くの監督が変わるんじゃないでしょうか。練習の量、質の面で、個人練習でもこれだけの成果が出せている。指導者側も健康面や社会情勢も踏まえた上で、練習の質を考え直す時期に来ている」と高校野球界の今後を見つめる。
「たしかに暑かったですが、こんな暑い時期まで野球をやらせてもらって。8月7日ですよ。これが甲子園なんだな、この暑さこそが勝者の実感なんだなと」と話した藤田監督。コロナ禍を経て以前よりもう一回り強くなった佼成学園は、来年以降どこまで勝ち進めるか。その変化にも期待したい。
(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)