阪神・西勇は「ほぼ完璧」も気になる“一発病”の気配 藪恵壹氏「もったいない」

阪神・西勇輝【写真:津高良和】
阪神・西勇輝【写真:津高良和】

6回4安打1失点の好投報われず、藪氏「開幕からツキがないというか…」

■広島 2-1 阪神(8日・マツダスタジアム)

 阪神は8日、敵地での広島戦に1-2で敗れた。今季8度目の先発マウンドに上がったエースの西勇輝投手は、テンポのいい投球で広島打線を6回4安打1失点に抑えたが勝敗付かず。降板後に1点を追加され、チームは敗れた。

 90球でマウンドを下りた29歳右腕の投球を「ほぼ完璧に近い投球」と称えるのは、阪神OBで元メジャーの藪恵壹氏だ。この日、唯一の失点となった初回、長野久義外野手に許したソロ弾も「外角の球が少し浮いただけ。そんなに甘いボールではなかったと思います」と分析する。

 だが同時に、ここへ来て気になるのが被弾の多さだという。前回登板となった1日のDeNA戦では、6回を投げて4本のホームランを浴びた。「一発病というか、少しもったいないホームランが出てきていますね」と指摘。本塁打による不用意な失点を警戒するようアドバイスを送る。

 それというのも、藪氏の目には西勇が勝ち運に恵まれていないように映るからだ。今季先発した8試合のうち、7試合でクオリティスタート(6回以上で自責3以下)を達成。チームに勝機を与えてはいるが、2勝3敗と黒星が先行している。こういう状況に置かれても「変わるような投手ではないから、安心してエースを任せられるのでしょう」と見ているが、こう言葉を繋いだ。

「今年は開幕からツキがないというか……。正直なところ、矢野(燿大)監督の采配が冴えていない影響を受けていますね」

 この日は同点の7回表に1死満塁と絶好の勝ち越し機を迎えたが、代打・福留が二ゴロ併殺に打ち取られて無得点。逆に、その裏に2番手・藤川球児投手が1点を失ってしまった。

「代打が福留選手しかいなかったのかどうか。右投手の心理から言うと、満塁の時はすっぽ抜けた球を投げたり、死球を当てたりしたくないので、意外と内角が攻めづらい右打者が嫌なものです。中谷(将大)選手や原口(文仁)選手でも面白かった。最近、大山(悠輔)選手が打てなかったこともありますが、サンズ・大山・ボーアの並びを解体した意図も、いまいち見えない。冴えが感じられない気がします」

 勝負は水物というだけに、どの采配が正しいのかの判断は、結果に左右される部分も大きい。ただ、一人奮闘するエースの好投を無駄にすることなく、勝利に繋がる采配のキレと冴えを、OBの一人として藪氏は願っている。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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