野球の流れは1試合に限らない 藪恵壹氏が指摘する「前日から続く流れの影響」

阪神・矢野燿大監督(左)とDeNAのアレックス・ラミレス監督【写真:荒川祐史】
阪神・矢野燿大監督(左)とDeNAのアレックス・ラミレス監督【写真:荒川祐史】

DeNAは前日に「ブルペンデー」を採用、その影響が9回の5失点に

■阪神 9-2 DeNA(11日・横浜)

 阪神は11日、敵地でのDeNA戦に9-2で勝利した。8回まで4-2と接戦だったが、9回に阪神打線がDeNAの4番手・平田真吾投手を捉えて5点をダメ押し。勝利を確実なものとした。

 9回表、マウンドに上がった平田は先頭の植田海内野手に死球を当てると、左前打、投手内野安打で無死満塁。すると、続く木浪聖也内野手に右翼へ二塁打を運ばれ、2点を失った。DeNAのアレックス・ラミレス監督は平田を続投。結局は5点を失うことになった。阪神OBで元メジャーの藪恵壹氏は「ここに前日がブルペンデーだった影響が見えます」と話す。

 前日の同カードで、ラミレス監督は先発投手を使わずに、初回から中継ぎ陣を細かく継投する「ブルペンデー」とした。先陣を切った武藤祐太投手は、中日時代の2015年以来5年ぶりの先発マウンドで3回を投げ、4回以降は5投手が繋いだ。メジャーでは最近、先発投手の数が足りない時など使われる作戦で、NPBでは日本ハムなどが取り入れたことがある。

「久しぶりに先発する武藤投手に『いきなり5回を投げてこい』と言うのではなく、『3回まで投げてくれれば後ろは繋ぐ』と言えば、少し楽な気持ちにマウンドに上がることができる。でも、6投手を使ってしまったことで、今日、そして明日の試合を考えた場合、投手起用の選択肢は減ってしまいました」

 まず、前日に先発した武藤と2回2/3を投げた国吉佑樹投手は使えない。すでに追う展開だったため、山崎康晃、パットン、三嶋一輝の3投手も選択肢から外れると、残りは石田健大投手のみ。翌12日も試合があることを考えると、できれば石田も避けておきたい。となると、やはり平田の続投しかなかったというわけだ。

「同じような状況で、先日は巨人の原辰徳監督が野手の増田大輝選手をマウンドに上げ、賛否両論沸き起こりました。でも、投手の肩肘を守る=壊さないという大前提を考えると、原監督の選択は正しかったと思います。メジャーでも翌日以降に投手を温存するため野手が投げることはありますが、そもそもNPBのチームはベンチ入りメンバーで野手が多いのだから(投手12人・野手14人)、全然アリだと思いますね」

 前日の流れを受けたのはDeNAだけではない。阪神は8回に藤川球児投手を投入せずに、馬場皐輔投手を注ぎ込んだ。藤川は前日に1点を追う8回に登板して1失点。連投は避けたいところだった。

「前日に追う展開で藤川投手を使ってしまったしわ寄せが、3点リードという本来の起用場面で使えないという形で出てしまいました。最終的には大勝する形にはなりましたが、8回藤川、9回スアレスという形が作れなかっただけに、ラッキーな部分もあったと思います」

 野球の試合には「流れ」があるというが、それは決して1試合に限ることではない。首脳陣も重々承知の上で采配を振るっているはずだが、この日の試合終盤は、前日の試合から翌日の試合まで「流れ」が繋がっていることを実感する展開となった。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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