プロ注目右腕と互角に投げ合った専大松戸エース 指揮官も称賛「今までで一番粘り強い」

先発した専大松戸・西村卓真【写真:上野明洸】
先発した専大松戸・西村卓真【写真:上野明洸】

先発・西村は8回被安打3の好投「今日は100%だった」

 2020年夏季千葉県高等学校野球大会の決勝戦が18日、千葉県営球場で行われた。専大松戸は木更津総合に1-2で敗れ、5年ぶりの優勝はならなかった。

 序盤から息の詰まる投手戦を展開。両投手ともに、1球目から最終回まで、投げる瞬間に声をあげながら、ミットへ球を投げ込んでいた。両ベンチの声もスタンドまでよく聞こえる。1ストライク、1アウト取るごとに、守備側のベンチからは球児たちの雄叫びが響いた。

 この日、最速149キロの木更津総合のエース・篠木健太郎とは対照的に、専大松戸のエース左腕・西村卓真は、最速は140キロに満たないものの、チェンジアップやカーブなどの緩急、スライダーを駆使し、次々と木更津総合打線を打ち取っていった。

 しかし、5回には1死一、三塁の場面で、自らの牽制ミスで決勝点を許してしまった西村。「刺せるかなと思ったけど、抜けてしまった」と淡々と振り返った。なおも1死三塁のピンチ。しかしエースの意地もある。ギアをあげ、追加点を阻止すると、それ以降は木更津総合打線に安打は1本も許さなかった。

 この日まで大会防御率0.00という実績通り、8回を投げて被安打3、2失点と素晴らしい投球を見せた西村。持丸修一監督は「最初から完投させるつもりはなかった。今までで一番粘り強いピッチングでした」とエースを褒め称えた。バッテリーを組んだ鈴木康平も「今日は100点だったと思います」と絶賛した。

「素直に凄いピッチャーだと思いました」と入学時の印象を語った鈴木。中学の時までの同級生とのレベルの違いを感じたという。鈴木は荒川シニア出身。鈴木誠(現広島)などがかつてプレーしたチームだ。「入った時から球も速いし、変化球のキレもすごいなと思っていた」と驚いたという。

 そんな西村は、高校で更に成長した。去年の秋季大会準決勝、拓大紅陵戦では西村が先発。序盤に連打を浴び、悔しい敗戦を喫した。去年まではコントロールがアバウトで痛打される場面が多かった。そのため冬の練習や自粛期間中は、下半身を強化し、フォームの安定を図った。そして迎えたこの夏「球威も出てきてコントロールがよくなって安定感が増し、低めに球を集めることができるようになった」と女房役は語る。この日も、得意のスライダーを低めに集め相手打線を封じ込めた。

 惜しくも試合には敗れたが、最後に鈴木は「大会では100%の力を出し切れたと思うので、大学でも頑張ってほしい」とバッテリーを組んだ相方にエールを送った。西村は「やりきった」と表情を変えず気丈に振舞ったが、頂点に立てなかった悔しさはある。次のステージでその悔しさを晴らすべく、西村はさらに成長していく。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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