選手の実力差、時期、開催地…プロ志望高校生合同練習会で見えた今後の課題

初開催となった「プロ志望高校生合同練習会」の意義と今後の課題とは
初開催となった「プロ志望高校生合同練習会」の意義と今後の課題とは

収穫の一方で、選手間の実力差、開催時期など課題や改善点も多く残った

 プロ志望の高校球児がスカウトの前でアピールする「プロ志望高校生合同練習会」の東日本エリア2日目が6日、東京ドームで行われ、東日本の高校生計41名が参加。前日を上回るNPB球団75名、アマチュア5名の計80名のスカウトを前に、シートノックやシートバッティングなどで猛アピールした。

 西日本エリア、東日本エリアの全日程を終え、日本ハムの大渕隆スカウト部長は「様々な選手がいましたが、見たい選手、映像でしか見られてない選手に対して、各球団とも複数のスカウトが見られたという点では非常によかった。プロとアマで協力して、高校3年生にチャンスを作ってあげられたかな」と12球団のスカウトを代表し総括。「我々スカウトはアマチュアに接してるので、NPB全体で見れば一番アマチュア側にいる存在。NPBに限らず、能力のある子が大学や社会人といった上のステージに進む機会を作ってあげられたら」と開催の意義を語った。

 一方で、来年以降の可能性については「相手あってのことなので……。高野連さんの意見も含めて、これからもプロアマで野球界にとってより良いことがあれば、これに限らずやっていけないかなと思っています」と話すに留めた。

 甲子園を奪われた高校生のアピールの場、またプロアマの雪解けの第1歩として、非常に意義の大きかった今回の合同練習会。一方で、今後に向けての課題や改善点も多く残った。セレクションがなく希望者は誰でも参加できただけに、選手ごとの実力差も大きく、それが実力を発揮する妨げとなっていた面は否めない。また、開催時期を早めたり、複数の会場を設けることで、より一層多くの選手の進路を開拓できるとの見方もある。

 ある関係者は「たとえば地方の公立のエースで4番は、多くは大学でも十分プレーできるはず。でも実際には、私立の大学もそこまではスカウティングにいかない。プロだけでなく大学や社会人へのアピールの場も兼ねるとしたら、遅くとも春先には各地で分散してやったほうがいい。ですが、そうするとパッケージ化されたひとつのイベントとしての注目度は下がる。そこは一長一短です」と運営方針の難しさを口にする。

 高野連の小倉好正事務局長は「来年度の開催については、新型コロナウイルスの感染状況や他行事等の関係を見ながら、関係者と検討させていただきたいと思います」とコメントしたが……。来年以降、仮に甲子園が再開しても、この貴重な場が継続されていくことを願いたい。

(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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