2戦勝ちなし歳内はヤクルトで活躍できる? 専門家が重視する“第3の球種”
OBで元コーチの野口氏は「フォークを生かすための組み立てが必要」と解説
■中日 11-5 ヤクルト(23日・ナゴヤドーム)
ヤクルトは23日、敵地ナゴヤドームで中日に5-11で敗れ、3連敗を喫した。先発の歳内宏明投手が、NPB復帰後2戦目となる先発のマウンドで、2回1/3を投げ8安打5失点。移籍後初黒星を喫し、阪神に在籍していた2015年以来、5年ぶりとなる白星とはいかなかった。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、DeNAで活躍し、18年まで2年間、ヤクルトでバッテリーコーチを務めた野口寿浩氏は、フォークを生かすための組み立ての必要性を説いた。
歳内は昨季限りで阪神を戦力外となり、今季は四国アイランドリーグplus・香川に加入。先発として5勝0敗、防御率0.42と安定した成績を収め、9月にヤクルト入りした。移籍後初登板となった16日のDeNA戦は5回8安打2失点だったが、この日は立ち上がりから苦しんだ。初回、2点の援護をもらった後、高橋に適時打で1点を許すと、2回にも代打・溝脇に適時三塁打を献上。打線が2点を勝ち越した3回にも、アルモンテ、ビシエド、高橋のクリーンアップに3連打を浴び、1死から平田にもヒットを許すと、早々とお役御免となった。
この日の投球内容について野口氏は、ボール先行で苦しい投球となったことが、結果的に打たれる要因になったと分析する。
「多くの打者に対して、初球ボールから入っていたが、落ちる球が得意な投手は、直球系を中心にしてカウントをしっかり整え、有利なカウントにしていかないと、落ちる球が効かない。最低でも2球でカウント1-1にしないといけない。苦し紛れにフォークをストライクゾーンに投げないといけなくなっていたが、ボール先行だと、フォークでストライクを取りにいっても打たれる。そして、それを嫌がってボール先行になる悪循環。ストライクの稼ぎ方を覚えないといけない」
歳内がこの日投げていたのは直球、フォーク、スライダー、カーブの4種類。中継ぎだった阪神時代は直球とフォークのコンビネーションがベースにあったが、先発で投げるなら、ほかの球種ももっと利用すべきだと野口氏は言う。
「スピードも直球が145、6キロ出ているし、あのフォークがあるから5、6回までいけるはず。相手チームは直球とフォークの投手というミーティングをしているだろうから、カーブやスライダーもうまく使えば、例えば初球カーブでストライクというのも可能になる。それができれば、この試合のように早々とノックアウトということはなくなり、クオリティスタートはできるはずだ」
そして野口氏は、ストライクの取り方について、見逃し、空振り、ファールの3つをうまく使い分けながらカウントを整えていくことが大切だとアドバイスを送る。
「打者にとって、フォークがストライクゾーンに来る投手は嫌じゃない。先発でいくなら、もっている球種を全部使ってカウントを整えていける能力が必要。振らせて空振りが取れるコントロールも必要。打者の狙いを外して、見逃しでストライクを取るのも1つの手。フォークが特徴の投手なら、逆に高めのつり球を使ったりもできる。バッテリーとしてストライクの稼ぎ方にもっと工夫が必要だ」
この日は打たれたが、先発の駒不足に悩むヤクルトだけに、まだ登板のチャンスが巡ってくる可能性はある。野口氏は「独立リーグから獲得して、2試合で見切りをつけるのは早い。来年以降も戦力になるのかどうかを考え、残りの試合でも使っていくべきだと思う」と話す。ヤクルトは今季残り39試合。チームはリーグ最下位に低迷しているが、歳内は新天地で再び輝きを取り戻すことができれば、来季への道も開けていきそうだ。
(Full-Count編集部)