DeNAオースティンに漂う“史上最強”の期待 ラミレス監督語る「計り知れない影響」

DeNAのタイラー・オースティン【写真:荒川祐史】
DeNAのタイラー・オースティン【写真:荒川祐史】

7月に脳しんとうとむちうちで約1か月半離脱「完全に治るまでには時間」

■DeNA 9-3 中日(4日・横浜)

 DeNAは4日、横浜スタジアムで行われた中日戦に9-3で勝利し、連敗を4で止めた。前日に中日と入れ替わって4位に転落していたが、この日はタイラー・オースティン内野手が3本塁打で6打点を叩き出し、1日で3位に浮上させた。

 初回に中日先発・松葉を攻め、神里、ソトの連打で迎えた無死一、二塁の場面で、3番に入ったオースティンが初球を左中間スタンドに運んだ。3回は先頭打者として打席に入ると、今度は6球粘った後、最後は外角高めのストレートをとらえて1本目と同じような場所に打ち込んだ。さらに7回には、1死一塁の場面で中日3番手・又吉が投じた内角低めのシュートをバックスクリーン右まで運んだ。

「今日は完璧な日だった」と振り返ったラミレス監督。特に評価したのが、オースティンの3発目だった。「あのホームランが一番いい内容だった。インコースの球を、インサイドアウトのスイングで逆方向にホームランできるのはすごい」と技術の高さを強調した。

 8回途中1失点で8勝目をマークした大貫とともにお立ち台に立ったオースティンは「ヤッター!」と日本語で喜びを表現。「最近はチームも自分の調子も良くなかったが、自分の打撃で勝つことができて嬉しい」とファンの声援に応えた。

 開幕前からラミレス監督が「これまでにないレベルの成績を残すことが可能な選手」と期待する逸材だが、ここまでの出場は40試合にとどまっている。度重なる故障に苦しみ、9月は5本塁打を放ったが、月間打率は.125と低迷していた。「過去の数週間は、パフォーマンスがうまくいっていないということは自分でもわかっていた」というオースティン。「普段からそうだが、常に強く振ってコンタクトすることを心がけた」と自身の打撃を貫いた。その結果の3本塁打は、指揮官の外国人選手を見極める相馬眼を証明するものだった。

 故障が多いのは、フィジカル的な問題だけではない。外野守備では果敢にダイビングキャッチを試み、フェンスを恐れないプレーが要因にも。7月31日に甲子園で行われた阪神戦、右翼での守備でフェンスに激突し、脳しんとうとむちうちの症状で、約1か月半の戦線離脱を余儀なくされた。

 選手生命にも影響しかねないアクシデントをオースティンは「タフで難しい時期だった」と振り返り「完全に治るまでには、時間がかかると言われている」と、その影響はまだ続いている。それでも「いい時もあれば、悪い時もあると思っている」と静かに話した後、「今日はいい日だった」と来日初の1試合3本塁打を喜んだ。

 「ハードワークで常にハッスルした姿勢を見せてくれている」とオースティンに感謝したラミレス監督は「今日の結果が示すように、パワーや技術はみなさんが知っている通り。あとはもう少しコンスタントに成績を残すことを期待している」と注文も付ける。「彼がラインアップにいるといないでは大きく違う。チームにもたらす影響も計り知れないものがある」と指揮官の絶大な信頼を受ける“史上最強助っ人”候補の真価を見せる機会は、まだ27試合もある。

(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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