井上晴哉がサヨナラ打で流した涙 専門家が感じたロッテの思いの強さと危機感

サヨナラ打を放ったロッテ・井上晴哉【画像:パーソル パ・リーグTV】
サヨナラ打を放ったロッテ・井上晴哉【画像:パーソル パ・リーグTV】

2連敗中のロッテが迎えた天敵・楽天、藪恵壹氏「チーム内に危機感あったと思う」

■ロッテ 4-3 楽天(13日・ZOZOマリン)

 ロッテは13日、本拠地での楽天戦に4-3で劇的なサヨナラ勝利を収めた。序盤は楽天の先発・則本昂大に打線が抑え込まれ、5回まで中村奨吾の2安打のみ。だが、6回から1点ずつ返して8回に同点に追いつくと、9回1死一塁から井上晴哉が中堅へ二塁打を運ぶと、一塁走者だった福田秀平が快足を飛ばしてサヨナラのホームを踏んだ。

 歓喜の後、ベンチ前に整列して本拠地ファンに一礼した時、井上の目には涙が溢れた。ヒーローインタビューでも、こみ上げる涙で言葉を詰まらせながら「期待に応えられなくて。どうしても打ちたかったんで何とかしました」と素直な気持ちを吐露した。阪神OBで元メジャーリーガーの藪恵壹氏は、井上が見せた涙にこそ、ロッテのこの日に懸ける思いの強さが溢れていたと見る。

「2位のロッテは、直前に戦った首位ソフトバンク3連戦で初戦に勝ったものの2連敗で、ゲーム差を広げて本拠地に戻ってきました。振り向けば、3位の楽天は5ゲーム差にいる。そして、この日まで今季楽天には6勝12敗と大きく負け越し。チームの中には『今日負けたら危ない』という危機感があったと思います」

 負ければソフトバンクとは3ゲーム差に広がり、楽天には4ゲーム差に迫られる可能性があった。2連敗の流れを断ち切り、優勝争いに踏みとどまるためには、この日の勝利は必須だった。

 だが、試合は先発の石川歩が2回までに3失点と終始追う展開で、打線は則本を攻略できず。中村が2回に中前打、5回に左翼二塁打と気を吐いたが、後が続かずに得点できなかった。そして、この2度のチャンスを生かし切れなかった打者の1人が井上だった。

 2回2死一塁の第1打席では右翼へのフライに倒れ、5回1死三塁の絶好機では空振り三振。今季から4番を安田尚憲に譲り、クリーンナップを外れることが多くなった井上は、この日も7番を打っていたが、思うような成績を残せない悔しさもあったのだろうか。藪氏は「思うところがあったんでしょう」と井上の心中を思い図る。

 8回に楽天バッテリーのミスに乗じて同点に追いついたロッテは、9回に守護神の益田直也を投入。2死から四球を出したものの無失点に抑えた。

「セーブシチュエーションではなくても、同点でも、9回は俺の回だと意識しているんでしょう。益田投手がきっちり抑えて、上手く攻撃に流れを繋ぎましたね。延長になれば、澤村(拓一)投手を投入する予定だったんだろうと思いますが、最高の形になりました」

 9回裏、1死から福田秀が出塁すると、「どうしても打ちたかった」という井上の気迫がサヨナラ二塁打を生み出した。

 追いかけるソフトバンクがなかなか負けないだけに、ロッテは必死で食い下がって行くしかない。藪氏も「まだ油断はできませんよ」と指摘するように、この楽天3連戦は3連勝、少なくとも2勝1敗でいかなければ、逆転優勝は遠のくだろう。

 14日の第2戦には、新加入した元中日でメジャーでも活躍したチェン・ウェイン投手が先発マウンドに上がる。井上が涙ながらに引き寄せたサヨナラ勝利の勢いを繋いでいきたい。

【動画】サヨナラ打を打って号泣、お立ち台でも号泣… ロッテ井上晴哉が歓喜の涙を流す劇的一打の映像

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