燕・村上3冠王のカギ握る? 専門家が読むセ首位打者争い「上位5人にチャンスあり」
試合数短縮で「打率が1厘も上がらない時もあるが、今年なら1本打てば1厘上がる」
「大島は出塁するのがメーンの仕事。技術力もあるし、ヒット狙いでヒットを打っていけばいい。役割がはっきりしている分、やりやすい。チームも調子が良く、気持ちもノッている。大島が出塁して3、4、5番、特にビシエドが還すという形が機能しているから、ビシエドが打点トップにいる」
一方、主軸を打つ佐野、村上、青木は走者を還す役割を担っていることで、逆に対戦を避けられるケースを想定しなければならないという。
「得点圏に走者がいる場面で打席が回ってくると、勝負を避けられて、一塁に歩かされる可能性がある。だが、それでは打率は上がらないので、そういうケースが増えてくると厳しい。ヤクルトの2人は順位争いは関係ないから自分の成績を考えて個人のバッティングができるが、中日、DeNAは順位争いがあるから、チームバッティングを考えなければいけない。これらを総合して考えると、大島が一番自分を曲げずに自分のバッティングをやっていけるのではないか」
一方で、野口氏は佐野の打撃についても高く評価している。
「佐野はもともと内角には自信を持っている打者。内角の長打力は素晴らしかった。18、19年と1軍を経験し、1軍でもできると感じていたと思う。その中で、苦手な外角、落ちる球への対応力に集中できた。それで今年、全てが花開いた」
佐野がルーキーだった17年、野口氏はヤクルトの2軍でバッテリーコーチを務めており、イースタン・リーグで佐野と対戦。「佐野は今年だけじゃなくて、ルーキーの年から内角打ちは天才的で、よく本塁打やヒットを打たれた。実力が落ちるヤクルトの2軍投手相手だと抑えることができなくて、『全部内角に投げとけ』と言っても、その内角を打たれて困っていた」と、当時を振り返る。
今年はコロナ禍で143試合から120試合へと短縮されたことで、打席数が例年よりも少なくなるため、最後までどうなるか分からない首位打者争い。野口氏は「例年なら終盤に1本ヒットを打っても、打率が1厘も上がらない時もあるが、今年なら1本打てば1厘上がる」と話しており、タイトル争いはリーグ最終戦までもつれそうだ。