巨人日本一の使者は変則左腕・高梨 分析のプロが太鼓判「柳田ら左打者にも有効」

巨人・高梨雄平【写真:荒川祐史】
巨人・高梨雄平【写真:荒川祐史】

巨人の名スコアラー・三井康弘氏が楽天から加入した左腕を分析「左打者の内角えぐるシュートが生命線」

■巨人 5-4 阪神(23日・東京ドーム)

 リーグ連覇達成間近の巨人で、今シーズン途中に楽天から移籍してきた高梨雄平投手が輝きを放っている。左の変則的なサイドスロー。23日に本拠地東京ドームで行われた阪神戦でも、8回のピンチに登坂し、近本、糸原を連続三振に仕留めて勝利に貢献した。

 巨人は4点リードで迎えた8回の守備で、先発の今村が原口に2点二塁打を浴び、なおも1死二塁のピンチを残して降板。ここで登場した高梨は、近本を140キロ台中盤のストレートでカウント1-2と追い込むと、真ん中のスライダーで空振り三振。続く糸原に対してはカウント3-2から、7球目の145キロの外角ストレートでこれまた空振り三振に切って取り、相手の勢いを止めた。

 巨人で2007年まで22年間、名スコアラーとして鳴らした三井康浩氏は「一塁方向へインステップして投げる高梨の球には、独特の角度があり、打者にとっては非常に打ちにくい」と分析。さらに「高梨には左打者の内角をえぐるシュートがある。この日も、糸原は5球目にこの球を見せられたために、その後は腰が引けて外角球に対して踏み込めなかった。巨人では21歳の大江も同じ左のサイドスローだが、左打者の内角へ投げる球がある点で、高梨の方が上で信頼度も高い」と解説した。両サイドのコントロールが抜群で、決して対左打者専用というわけではなく、右打者も苦にしない。

 プロ4年目・28歳の高梨は、今季楽天では1軍登坂機会がなく、7月14日に若手成長株の22歳右腕・高田との交換トレードで巨人入りした。以降、23日現在で39試合に登板し、1勝1敗20ホールド2セーブ、防御率1.35の安定ぶり。左のリリーフエース・中川が左脇腹痛で今月9日から出場選手登録を抹消されていることもあって、いまや巨人に絶対欠かせない存在となっている。巨人からロッテに移籍した澤村もそうだが、シーズン中のトレードが本人にとってもチームにとってもプラスとなった好例である。

 三井氏は「柳田、中村晃、長谷川、栗原、周東ら主力に左打者が並ぶ今季のソフトバンクにも有効だと思う」とも。優勝マジックを5とし、セ・リーグ連覇はまず間違いない巨人に対し、ソフトバンクもマジック4。パ・リーグのみクライマックスシリーズ(CS)が控えているとはいえ、巨人としては、昨年の日本シリーズで屈辱の4タテを食らったソフトバンクにリベンジを果たしたいのが本音だろう。高梨は来るべき日本シリーズでも、キーマンの1人になるかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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