田澤純一の指名漏れで問われるドラフトの本質 時代に即したルール制定の必要性

BC埼玉武蔵・田澤純一【写真:荒川祐史】
BC埼玉武蔵・田澤純一【写真:荒川祐史】

「田澤ルール」撤廃も指名されず、角監督「非常に勉強させられた」

 10月26日、都内のホテルで2020年「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が行われた。各球団の1位指名からスタートして約3時間、支配下として74選手、育成として49選手がドラフト指名を受けたが、その中にルートインBCリーグ・埼玉武蔵の右腕、田澤純一の名前はなかった。

 球団が用意した会見場には36社の報道陣が集まり、その時が来るのを待った。今年の埼玉武蔵は田澤を含め3選手に調査書が届き、ドラフト指名が期待された。選手は控え室でドラフトの様子を見守り、指名されたら会見場に登場して報道陣対応をする予定。会見場には角晃多監督兼GM、今井英雄球団代表、山崎寿樹CEOの3者が登壇して行方を見守った。だが、支配下指名が終わっても名前は呼ばれず。育成指名されても同じ段取りで進められるアナウンスがあったが、12球団で唯一残っていた巨人が育成13巡目で「選択終了」を宣言した頃には、壇上には山崎CEOが一人残るのみだった。

 米球界で11年余りプレーしたキャリアを持つ34歳右腕を、NPB球団がどう評価するかに注目が集まった今ドラフト。短期的な戦力補強を目指すチームが指名する可能性もあっただろうが、実際にその選択をする球団はなかった。

 ドラフト終了後に報道陣の取材に応じた角監督の言葉が、この状況を端的に表していたと思う。田澤が指名を受けなかった原因をどう考えるか聞かれると「年齢の部分なのかなと思います」と話し、こう続けた。

「いろんな意味で条件面もあるとは思いますけど、純粋に、このドラフト会議というものの根底というか、本当にどういう意味合い(を持つ)かっていうものを、正直、今回の田澤純一をもって、我々も非常に痛感させられたというか、勉強させられたと思っています。(来季)必要なピースだから取るという考えより、本当にNPBの関係各所の方が、1年、2年ではなくて、5年、10年とこの選手ならチームを背負っていけるという覚悟を示す場所。そこは我々も非常に勉強させられたドラフト会議だったと思っています」

海外プロリーグで一定期間の経験を持つ選手を対象にしたルール制定の議論を

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