西武がついにCS圏内の同率2位 辻監督「こんな手に汗握る展開になるとは」
同点犠飛呼んだ森の犠打に指揮官「僕は決断が鈍り森が自分で決めた」
■西武 5-4 日本ハム(3日・メットライフ)
西武は3日、本拠地メットライフドームで日本ハムに5-4で競り勝ち、ついにロッテと並んでCS進出圏内の2位となった。西武の2位は、開幕2戦目の6月20日・日本ハム戦後以来136日ぶりだ。今季残りは5試合。仮に最終的に2位で2チームが並んだ場合は、直接対決で勝ち越した方がクライマックスシリーズ(CS)進出となるため、ロッテに今季15勝8敗で勝ち越しを決めている西武が優位ともいえる。
辻発彦監督は試合後、「残り5試合となって、こんな手に汗握る展開が待っているとは、思いもしなかった」と率直に語った。この日は、試練の本拠地9連戦の8戦目。指揮官は「本当に選手たちは疲れている。デーゲーム、デーゲーム、ナイター、デーゲームと時間も変わる中で、必死にやっている」と手放しで称えた。
シーソーゲームを、手堅い作戦と、ここぞの1発で制した。2点を追う3回には2死一塁で、栗山が左翼席へ同点12号2ラン。プロ19年目の37歳が、ここにきて5試合連続打点の大車輪の働きだ。辻監督は「まだ反対方向にたたき込めるのかと、栗山の若さを感じた」と驚きあきれるしかなかった。続く4回には、来日1年目のスパンジェンバーグが右翼席へ勝ち越し14号ソロを放った。
その後いったん逆転されたが、6回、日本ハム3番手の左腕・堀に対し、先頭の栗山が中前打で出塁し、続く強打の捕手・森は送りバント。これが、スパンジェンバーグの同点左犠飛につながった。実は、辻監督は森にはバントのサインを出しそびれていたという。「1点勝負と思ってやっているのに、僕は決断が鈍った。森が自分で決めてやってくれた」と明かした。「打てないと判断したのでしょうね」とおどけたが、今の西武はサインを待つまでもなく、選手個々が自分たちの野球を把握し、自分たちの判断でやるべき仕事を遂行できる、大人の集団である証だろう。
7回にも、無死一塁から金子が投前犠打を決めて走者を二塁へ進め、外崎の決勝中前適時打を呼んだ。
守っては、今季成長著しく、チーム最多の8勝を挙げている高橋光が珍しく不調。5回途中6安打4四球4失点で降板したが、その後を宮川、小川、森脇、平良、増田が必死のリレーでしのいだ。増田はリーグ最多の33セーブ目を挙げた。
辻監督はここでも、「連戦、連投で本当にしんどいと思うが、後ろの投手(リリーフ陣)は頑張って、いい働きをしてくれている」と感謝するばかり。泣いても笑っても残りわずか。選手を信じて、戦い抜くしかない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)